2013 Fiscal Year Research-status Report
半側空間無視を有する患者の食事時の姿勢調整ケアの開発
Project/Area Number |
25463320
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
水戸 優子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70260776)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 朋子 (大塚 朋子) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (40413257)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 半側空間無視 / 食事 / 摂食 / 姿勢 / ケア / リハビリテーション / ポジショニング / 姿勢調整 |
Research Abstract |
本研究は、半側空間無視を有する患者の食事時の姿勢調整ケアのプログラムを開発することを目的とし、平成25年度は、半側空間無視を有する患者に関する病態および治療、ケア、リハビリテーションに関する文献検討、質問紙による実態調査、摂食・嚥下ケアのエキスパートのもとでの研究者の研修、姿勢調整ケアの効果を測定するための動作分析システム機器を用いた模擬患者へのプレテストの実施を行った。 文献検討では、医学中央雑誌Web版を用いて、半側空間無視と食事、摂食、嚥下等のキーワードにて全年検索(1984-2013)し、検索された533件について、タイトルと抄録を素読して78件に絞り込み、それらを病態像、治療、ケア・リハビリテーションの観点から分類し、内容分析を行った。結果、病態の特徴として、予後が良好の場合と不良の場合の2分に明確に分かれること、治療やリハビリテーションの近年の動向を把握した。食事姿勢に関する文献は近年においてわずかにある程度で改めて研究の意義が見出された。 専門職者への質問紙を用いた実態調査は、当初計画になかったが、文献上では具体的な食事姿勢ケアや無視症状へのかかわりが不明確であるために実施した。半側空間無視を有する患者に関わる専門職者から219件の回答を得た。結果、食事時に「無視側から関わる」「非無視側からかかわる」との回答に分かれ、方法の工夫で「正面位がとれるポジショニング」が記載されているものの、多様であって方法が確立していないことが示唆された。 研究者の研修では、3例の半側空間無視患者の治療療養過程を観察するとともにケアに参加することができた。さらには、所属大学にて模擬患者を対象に車椅子上での食事姿勢を撮影し、三次元動作解析をプレテストとして行い、測定上の課題を明らかにした。 これらの研究および研修活動をもとに、平成25年度の課題である食事姿勢ケアの要素を抽出する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初予定していなかったが、文献検討と研究者の研修では半側空間無視患者へのケア、リハビリテーションの現状が明らかにできなかったため、専門職者への質問紙実態調査を行う必要があり、所属大学倫理審査委員会の承認を得て、実態調査を行った。そのため、時間を要した。しかし、このことで現場での実態がより明らかになったとともに、姿勢調整ケアプログラム開発の課題が明らかになったので実態調査は有効だったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、病院での研修および研究のための準備(病院および所属大学の倫理審査委員会)を行っており、予定の「ケア要素の抽出」を早急に行う予定である。 その後、ケアの要素のメカニズムについて、文献との照らし合わせおよび、専門家(脳神経専門医、作業療法士の資格をもつ大学教授、准教授、摂食・嚥下リハ認定士)の助言を得て整理する。そのうえで、ケアプログラムを作成する。同時に、ケアプログラムの有効性を検証するための評価方法についての検討を研究協力者の協力を得て実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、関連文献の検討、研究者による臨床研修によりケア、リハビリテーションの現状を把握したのち、臨床の観察研究を行って、半側空間無視を有する患者の食事の姿勢調整「ケアの要素抽出」を行う予定であったが、文献では現状把握が困難で不十分であったため、専門職者へ質問紙による実態調査を行った。そのために臨床の観察研究の実施がやや遅れ、観察研究のために予定していた研究費(旅費、謝金等)を執行しなかった。 平成26年度前期のうちに臨床での観察研究を実施し、「ケアの要素抽出」を行うとともに、計画通り「ケア要素」の整理と「ケアのプログラム化」の研究を行う予定であり、前年度と今年度分を合わせた助成金を使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)