2013 Fiscal Year Research-status Report
看工連携による看護ケアテキスト評価・分析支援システムの開発
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25463332
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
新居 学 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80336833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護ケア / テキスト分類 / コンピュータ支援システム / ソフトコンピューティング |
Research Abstract |
看護ケアデータ分析システムのテキスト分類性能の向上を図るため、看護ケアテキスト数値化プログラムにおいて文構造を考慮するために係り受け関係を導入した。従来の看護ケアテキスト数値化プログラムに対して係り受け関係を表現できるよう変更を施し性能評価を行った。その結果、初期の係り受け関係の数値化方法では分類性能向上がわずかにとどまった。そこで、遺伝的アルゴリズムにより、数値化の最適化を行ったところ、遺伝的アルゴリズムの導入前より性能向上が見られた。 また、看護ケアデータ分析システムでは、過去の看護ケアデータの情報に基づいて単語集合を生成するが、評価対象のテキストに初めて出現する単語については情報を持っていない。このような状況は回避することができないため、自動的に未知の単語に関する何らかの情報を収集する仕組みが必要になる。そこで、未知の単語が出現した際にWeb上の情報を利用するシステムのプロトタイプを作成した。ここで収集した情報は概念ファジィ集合生成の基礎データとなる。 看護の質を示す要素に関して、看護ケアテキストデータ中から鍵となる表現を発見するため、決定木を利用した方法を考案し、その性能を評価した。(1)出現単語ベースの特徴ベクトル、(2)文節ベースの特徴ベクトル、および(3)係り受け関係ベースの特徴ベクトルのそれぞれに対して決定木により分類規則を抽出・表現した場合、(1)では、抽出された分類規則を専門家が理解することはできるが表現力に欠けることがわかった。(2)は抽出された分類規則の表現力に優れるが、看護ケアデータ分析システムでの分類性能は良くなかった。(3)は改善の余地があるものの分類性能と表現力のバランスが良いことがわかった。 本年度の研究では、看護ケアデータ分析における専門家支援システムの各構成要素のそれぞれについて基礎的な仕組みを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の広範囲に渡る多数の看護師の看護ケアの質を少数の専門家により評価するための支援システムを構築するという大きな目標に対して、本年度は当該システムの中核となる看護ケアテキスト分類システムの分類性能向上を、文章構造を考慮してテキストを数値化するという手法を用いて着実にその性能を向上させている。また、その他に必要となる構成要素について基礎的な仕組みを構築した。本年度の実施計画の通り、概念ファジィ集合構築の基礎データ収集の仕組みや、決定木による情報抽出を行った。そしてそれぞれに対して性能評価を行った。それぞれの構成要素については現段階では基礎的な仕組みであるが看護ケアデータ分析システムに有用であることを確認した。 日本の看護の質向上のための工学的見地からの貢献としては、自動分類システムによる看護ケアテキストの記述内容の評価を看護ケア専門家と近づけることが最終目標であるため、本年度に明らかになった問題点に対処するべく次年度以降の研究計画を見直す必要性はあるが、平成25年度計画については達成できていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で構築した看護ケアデータ分析システムの基礎的な各構成要素は今後洗練させなければならない。また、それぞれの構成要素の連携という観点からの評価が必要となっている。ゆえにこれら各構成要素の性能向上と、それらの連携による看護ケアデータ分析システムの性能評価をまず行う必要がある。次年度はまず、看護ケアに関する概念ファジィ集合およびリコメンデーション作成支援のための情報抽出システムについて性能向上を図る。
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Research Products
(2 results)