2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25463340
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
岡田 ルリ子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (00233354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 光子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (30212377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 角層水分量 / 温熱刺激 / 皮膚バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚のバリア機能を維持するには、角層に一定の水分量が保持される必要がある。本研究は、手浴のような部分温熱刺激法で皮膚血流量を増加させて角層水分量を維持する、簡便で効果的な看護方法を開発することを目的とする。 まず、手浴よりも簡便な温熱刺激法を見出すため、湯たんぽや蒸気温熱シートの使用を試みた。これらは、一定時間、一定温度の刺激を維持することが難しく、角層水分量を増加させる刺激にはなりえなかった。筆者らが見出した従来の方法(片側手部を42℃の湯に10分間浸漬させる方法)が最も簡便で有効な方法であることを確認した。 次に、角層水分量は、皮膚表面温度(以下、皮膚温)と正の相関を示すことから、皮膚温が何度に達すれば角層水分量が増加するのか、その閾値を確かめる実験を行った。閾値の明確化は、角層水分量を増加させる重要な目安となる。この予備実験で、皮膚温35.5℃が角層水分量を増加させる閾値であろうとの仮説を得た。そこで、42℃の湯に手部を浸漬し、皮膚温が35.5℃に達するまで行い(倫理的配慮から最大20分の浸漬)、角層水分量増加との関連をみた。これを冬季と夏季、性別で比較した。高齢者らにも実施した。 その結果、季節や男女差、および年齢に関係なく、20分間の手部浸漬では、皮膚温が35.5℃に達することはなく閾値の明確化には至らなかった。しかし、皮膚には水分を貯蔵する器としての機能があり、一定の容量を保つことができるが、血流量の増加によって最大容量を超えた場合にはじめて水分の蒸散が起こる、との仮説を得た。つまり、皮膚が最大の容量を保てる看護方法(皮膚血流量が緩やかに増加し、水分蒸散が軽微に生じる程度の温熱刺激)が明らかにできれば、効果的に角層水分量を保つことができ、皮膚バリア機能が回復する方法を見いだせるものと考えた。今後、その解明に向けて研究を重ねる所存である。
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