2014 Fiscal Year Research-status Report
医療偏在地域における地域密着型協働的看護教育システムの構築
Project/Area Number |
25463351
|
Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
岩田 浩子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (20300171)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 加奈恵 城西国際大学, 看護学部, 教授 (20159552)
末永 香 城西国際大学, 看護学部, 准教授 (40341870)
坂下 貴子 城西国際大学, 看護学部, 准教授 (50341871)
和野 千枝子 城西国際大学, 看護学部, 准教授 (90461839)
長井 栄子 城西国際大学, 看護学部, 准教授 (10352684) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 地域密着型教育 / 看護師の教育力向上 / 協働的教育システム / 実習指導能力 / モデル事業 / 大学と病院の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度研究の中核は、前年度に実施した全国調査のデータ分析を行うこと、大学周辺地域(医療偏在地域)の病院看護部と学部教員との教育支援チームを形成し、モデル事業として現任教育のアセスメントに基づく教育を計画・実施することである。 実施内容と結果の概要:4月~7月 モデル事業の準備、実施病院看護部著の調整、打ち合わせ実施。A病院の協力が得られ、教育力の課題に対して「実習指導に関する協働教育チーム活動による看護師の教育力向上」をテーマとして事業を計画。事業の概要は①看護部教育担当者と教員の協働チーム形成②テーマに関する定期的な会議の開催③教育力向上のためのセミナーの実施④看護師と教員の協働連携に基づく実習指導の実施⑤モデル事業前後で実習指導能力評価の比較調査である。 9月~平成27年3月:モデル事業実施 9月研究代表者による実習指導と教育に関するセミナー実施。参加者45名。セミナー前に実習指導能力の調査実施。39名の有効回答を得た。多くの項目で自己評価が中間値より高い傾向が確認された。協働チームによる5回の会議を実施。協働体制の効果と課題、実習指導の課題と評価等を確認した。参加者は平均して大学側5名、臨床側10名だった。平成27年3月にモデル事業の評価の一部として実習指導能力および学習意識・教育力向上に関する調査を実施した。100名の回答を得た。9月の調査と比較検討中である 11月下旬から開院2年目のB病院とモデル事業実施の可能性について検討中。 平成25年2月に実施した調査データを整理分析した。分析可能126(53.6%)。回答者の平均年齢53.5歳、認定資格、看護教員経験等数名存在した。現任教育の現状では教育計画なしの病院がわずかにあり、院内教育で手一杯の現状が示唆された。看護師の特性に応じた教育の実施や新人教育の課題があり大学への支援ニーズが明確となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画は、大学周辺地域(医療偏在地域)の病院看護部と学部教員との教育支援チームを形成し、モデル事業として現任教育のアセスメントに基づく教育を計画・実施することを目的とした。また、25年度末に全国調査の回収がずれ込んだことでデータ分析が26年度となった。 全国調査の分析については、繰り越した研究費により人件費をあててデータ整理、入力ができた。分析により地域偏在地の中規模以下の病院の現任教育の課題を明らかにすることができた。 モデル事業については近隣ではあるが、実習指導経験が乏しく中堅看護師の比率が高いA病院の看護部と打ち合わせを通して「看護師の教育力向上」をテーマに大学教員との協働的教育システムの構築を目指した。アセスメントツールが検討段階となり、意見交換によるアセスメントにならざるを得なかった。一方、看護部との関係性を構築できたことで臨床現場の多忙さの中で無理な活動とならず、教員と看護師が実習指導という協働体制を意識した活動が展開できた。事業前後の調査分析は現在進行中だが、自己の教育力の向上の課題の明確化や指導教育への興味関心などの変化について、協働指導体制により指導教育の重要性や目標の向上により単純に認識が向上するのではないという課題が示唆され教育方略の検討が必要であると認識できた。また、モデル事業に関してB病院との検討も進めている段階である。研究成果の発表等に関しては計画していた時期に業務が多忙となり26年度末に学会発表申請をした。27年度の学会発表は採択されている。 以上から、前年度からの課題の実施と今年度のモデル事業の実施に関しては、おおむね目標達成できたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の主要な活動は、平成26年度のモデル事業のプロセスおよび教育方略・アウトカム評価を実施し、医療偏在地の地域ニーズに密着した協働的教育システムの試案作成である。 平成25年度からの調査データ、モデル事業の内容、調査結果を総合的に再分析し、研究グループと研究協力者と相互補完的意見交換により、異なる組織の協働の課題、システム構築の障壁となるものなどを明らかにする必要がある。そまた、評価に際してさらにモデル事業を追加実施してその課題の明確化が図れるよう準備が必要である。 最終段階として、すべての知見、実施過程とその結果を総合的・多角的に分析するに当たり、国外の地域教育の情報による知見も重要であるとして、申請段階で米国の看護学部の教員にインタビューを計画している。現在その準備中である。予算的に可能であれば研究組織メンバーの多くの参画を計画し、今後の総合的分析に有効な意見交換を図る。 また、26年度の課題である研究成果の発表に関して、27年度はすでに1件の学会発表が決定している。今後はさらに研究成果のまとめの円滑化を図り、可能であれば2件目の発表申請に向け準備する。
|
Causes of Carryover |
平成26年度モデル事業のために物品費にビデオカメラを購入予定としていたが、モデル事業は病院内で行っていたため、看護師の個人情報保護の観点、患者・家族の映り込み等の観点から購入しないこととした。さらに全国調査データの分析、モデル事業に関する調査を実施することに時間がかかったため、結果の分析と検討に使用する予定の関連図書の購入が少なかったことから、物品費を減額することとなった。また、研究成果の発表のため研究メンバーの旅費を計上していたが、モデル事業の実施に時間をかけたため、学会へは少数のメンバーが情報収集と知見を得るために参加したのみで、今年度の学会発表の機会を作ることができなかったこと、モデル事業関連の旅費は近隣のため高額にならず結果として旅費の減額となった。 また、人件費、謝金等は使用日数が少なかったことから当初予算より少ない経費となった。以上から最終的に約60万を繰り越すこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はモデル事業の多面的・総合的評価、特に医療偏在という特徴からの地域ニーズと協働的教育システムの試案を検討することを目的としている。評価において米国看護学部の地域貢献活動の情報収集による多角的評価を予定している。申請時の予算的実施可能性として3名の旅費を計上したが、海外調査研修の計画においてマンパワーが必要であり、成果を今後の研究活動への活用拡大を期待することから1名増の4名の計画とするため、海外旅費を増額する。さらに、教育システムの検討に際して別病院でモデル事業の実施を計画するため、国内旅費、謝金が追加となる。また、すでに決定している学会参加、今後の発表申請を見据え国内旅費、評価カンファレンスの経費等の増額が予測される。最終年度であることから報告書の印刷経費も協力施設が増えたことで少し増額が必要と考える。 これらから海外旅費、国内旅費、謝金、その他経費の増額を計画する。
|
Research Products
(1 results)