2013 Fiscal Year Research-status Report
看護大学と臨床における労働時間の「等価交換」による連携・協働システムの構築
Project/Area Number |
25463353
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Research Institution | Kameda College of Health Sciences |
Principal Investigator |
久保 幸代 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (90634923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連携・協働 / システム構築 / 助産師教育 / 実習指導 / 助産実践 |
Research Abstract |
本研究の目的である教育と臨床における連携・協働システムの構築に向け、今年度は臨床管理者・スタッフと教員が、システム内容とシステム実施におけるメリットとデメリットを知ること、また、今後の取り組み内容を検討することを目的とし視察を行った。視察は、臨床と教育の連携により看護師の人材養成システムの構築を行っている2つの大学病院、助産師外来や院内助産など自立した助産師実践をしている3施設、イギリスで臨床と大学が連携し、助産師育成教育を行っている病院1施設を対象とした。 視察結果として、参加者は臨床管理者3名、スタッフ9名、教員4名であった。大学病院2施設では、看護教育センターという、実践と教育の連携を行う部署を設置していた。それにより、大学と臨床の連携がスムーズになったが、継続のためには人件費の問題があるとわかった(現在は補助金を使用)。 イギリスでの助産師育成教育を行っている病院では、大学と臨床の両方で勤務する助産師(ファシリテーター)が存在していた。その役割りは、臨床における学生のサポートと評価、学生を指導する臨床の助産師の教育とサポート、さらに効果的な学生教育のために病院と大学との連携・調整を行っていた。それにより、臨床における学生教育の問題は減少したという。 今年度から、臨床では初めて学部生の実習が開始となる。両者から、実習に関する疑問や不安が出てきている。今年度、学生に学習効果のある臨床実習に向けての臨床と大学との連携・協働はかせない課題となる。そのためには、今回の視察結果を活かし、両方の教育をサポートできる人材またはシステムが必要であることが明確になった。 また、臨床スタッフからも助産ケアの質の向上に向け取り組みたいニーズ(研究、助産師外来、乳房ケア等)が表出されている。これらについても臨床と大学との連携・協働により取り組むことが必要な課題であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外での連携・協働活動の実践例について、具体的内容やメリット・デメリットを学ぶことができた。そして、多くの臨床スタッフと大学教員とともに、4回の報告会を行うことで、メンバー以外の臨床スタッフも含め視察結果を共有することができたと考える。 しかし、今年度は、臨床と教育(大学・看護専門学校)の各分野でそれぞれが必要とする連携・協働の対象となる業務と従事できる人員を洗い出し、交換可能な内容と資源を確認し、それらを運用するための実際的な計画を立てるところまでを目的としていた。現状での、連携・協働によるメリットの理解と臨床のニーズ、そのための課題は出されてきたものの、システム活動の内容の洗い出しまでは達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、視察結果から臨床と教育の各分野でそれぞれが必要とする連携・協働内容について①効果的な臨床実習のための臨床と大学の連携・協働、②臨床における助産ケア・教育の質向上に向けた新たな取り組みへの臨床と大学の連携・協働を行っていく。 そのために、昨年度の目標としていた、労働力を提供できる人材のプールとその運用機能を持つ臨床と教育(大学・看護専門学校)の各分野でそれぞれが必要とする連携・協働の対象となる業務と従事できる人員を洗い出し、交換可能な内容と資源を確認する。それらを運用するための実際的な計画を立てる。交換対象となる業務のそれぞれについては、一定基準を満たす内容や程度を明確化し、その実施内容や時間をが把握できるよう管理する。提供する臨床や教育の活動に対する評価を明確化し、単なる個人の活動にとどまらない組織の評価として、①、②の実施内容についての評価方法を検討する(H26年5-9月)。実施開始内容について、評価を行っていく(H26年10月-H27年5月)。 以上を今年度の研究の推進方策として計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定では海外視察を2回・国内視察を2回としていたが、国内の助産施設への視察を3か所追加し、海外視察を1回減らした。理由は、現在の臨床現場で参考となる助産施設への視察希望があったことと、実質的に今後の活動に活かせる視察にしたいと考えたためである。また、25年度にノートパソコンを購入予定であったが購入できなかった。 そのため、予定額を減じ次年度使用額が生じた。 今年度、効果的な実習を行うために臨床と大学が連携・協働について計画を実施する予定である。その評価として、臨床スタッフや学生を対象にアンケートやインタビューを行うこととなる。評価のための調査を行うに当たり、謝礼やテープ起こしの料金が発生すると考えられる。また、データ入力等の作業が今年度より開始するため、パソコンの購入を計画している。具体的には、テープ起こし料金10,000(30‐60分)×5人=50,000、謝礼30,000、人件費(データまとめ)80,000、パソコン100,000、計260,000(円)である。 また、26年度使用計画として申請した関連学会参加の国内旅費、調査データ整理用文具と関連図書の消耗品費、及び研究者会議費(8人×5回)、研究論文投稿のための翻訳費を使用する予定である。
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