2014 Fiscal Year Research-status Report
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25463358
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 恵子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (30550892)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 看護教育史 / 近代看護 / 翻訳看護書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の医療史の中に近代看護の源流を探ることを目的としている。平成26年度は一次史料である翻訳書と原著との比較調査を行った。明治7(1874)年に医学雑誌の付録として世に出た『看病心得草』は現時点ではわが国最初の翻訳看護書である。その原著はアメリカの医師Calvin Cutter著"First book on analytic anatomy, physiology and hygiene"であった。翻訳に携わった田代基徳は天保10(1839)年に出生、緒方洪庵に師事した医師で、『看病心得草』を収録した「文園雑誌」の創刊者であった。 また、今年度の活動として、主に学術集会等への参加を通して幅広く情報・資料の収集を行った。国内においては日本医史学会学術大会、日本看護歴史学会学術集会に参加し、近代看護成立過程に関する最新の知見を得た。また、国外においては日本における医療の近代化と深い関連があるオランダを訪問した。ライデン大学、シーボルトハウス、オランダ国立博物館を視察し、関連資料の収集と分析を行い、近代における日蘭関係の状況と意義について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展している。平成26年度は対象としている一次史料である翻訳看護書とその原著の比較を行い、特徴を検討した。また、予定していたオランダへの訪問を果たし、資料館や博物館の展示品等の見学・分析を通して日本における近代医療・看護との関連の深さを理解することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究計画の最終年度である。これまでの研究成果を踏まえ、近代看護が日本に移入・分化した過程について明確にし、研究論文を作成する。研究の成果は看護系学会学術集会、国際学術集会において発表する。また、作成した研究論文は日本医史学雑誌、日本看護歴史学会誌等に投稿する。
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Causes of Carryover |
本研究初年度に物品費として計上したパーソナルコンピューターを未だ購入していないため繰越が続いていること、歴史関連書籍の探索が滞っていることで次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、現在研究情報の整理に使用しているパーソナルコンピューターの老朽化に伴う作業効率低下があるため新規購入し、研究論文作成のために使用する。また、歴史関連書籍の購入費、史料を鮮明にデータ化するためのカメラ・周辺機器、国内における学術集会参加費、論文投稿のための英文校正費として使用する計画である。
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