2014 Fiscal Year Research-status Report
患者目線に立った糖尿病チーム医療を促進する看護師の実践能力育成方法の開発
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25463400
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70345635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 美智子 金沢大学, 保健学系, 教授 (40115209)
八木 邦公 金沢大学, 医学系, 准教授 (30293343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / チーム医療 / 看護師 / 実践 / 指標 / 困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病看護に携わっている看護師を対象とし自記式アンケート調査を行った。2,294名に依頼し回収1,115名(回答率48.6%)。 1.糖尿病チーム医療を促進する看護師の実践指標の信頼性・妥当性の検討 糖尿病チーム医療を促進する看護師の実践25項目について併存的妥当性の確認のため、ソーシャルスキルと批判的思考態度の回答を得た。有効回答848名(76.0%)。因子分析にて全25項目4因子を採用。α係数は下位尺度では0.84~0.92、25項目全体で0.95であり十分な内的整合性を確認。因子負荷量はすべて0.4以上、回転前の4因子までの累積寄与率63.9%。各因子の下位尺度得点とソーシャルスキル・批判的思考態度の相関0.3~0.5。糖尿病チーム医療を促進する看護師の実践指標25項目すべてを採用、信頼性・妥当性を確認。 2.糖尿病チーム医療において看護師が困難ととらえる実践の構造 糖尿病チーム医療に関する看護師の考えや意見が記された自由記載208名を質的に分析。糖尿病看護に携わっている看護師は、<看護師の糖尿病患者へのケアスキルが足りない>、<看護スタッフに対する教育が思うようになされない>、<看護師の能力を生かし切れていない看護体制>のため、<看護師としてやりがいや自信をもてない>、<看護師のモチベーションの低下>と感じ、<看護師の自己犠牲と負担感で成り立っている糖尿病医療>ととらえていた。これには<医師との間に壁の存在>や<医師という存在によって左右されるチーム風土>が関連していた。また、<糖尿病チーム医療が診療報酬に算定されず社会から認められない>ことが関連した<糖尿病チーム医療を大事にしない組織体制>が<看護師の能力を生かし切れていない看護体制>と関連していた。これらより、看護師は<糖尿病チーム医療はまだまだこれからだ>ととらえており、その根底で<自分の力ではどうすることもできない看護師のジレンマ>によって苛まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4年計画の半分の期間が経過した現在、3つの目標のうち、第1目標である看護師のチーム促進の実態と他の能力との関連までは明らかにしたものの、目標が2つ未実施の状態である。今後、看護師の能力育成方法(教育プログラム)を案出・実施し、その後その評価を行う必要がある。 教育活動および社会貢献活動を研究活動より優先せざるを得ない体制であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は看護師への教育プログラムを、まずは小さな単位で作成し試行することから開始する。対象者も看護師3~4名単位で募集し、丁寧に実施し評価を行うことを計画している。看護師個々の糖尿病ケア能力の向上と看護師による糖尿病チームを促進する体制づくりの両側面から看護師が力をつけていくためのプログラムを考案する。1)患者への糖尿病教育スタイルを教育効果があるとされる生活心情がみえているスタイルへ向上させるための患者理解およびコミュニケーションのトレーニング、2)医師との間の壁をとりはずし信頼を勝ち取るためのアサーションスキル、プレゼンテーションスキル、批判的思考態度向上のトレーニング、3)看護師が自己犠牲を強いられないための体制づくりの方略など、プログラム作成から開始する予定である。
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Causes of Carryover |
教育介入の計画を立案すること出来なかったため、介入にまつわる教材や人件費などの支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
教育プログラム作成と実施に必要な経費として、教材作成費、人件費を計画する。
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