2015 Fiscal Year Annual Research Report
振動による重症虚血肢患者の虚血性疼痛緩和と創傷治癒がもたらすQOL向上の検討
Project/Area Number |
25463401
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大桑 麻由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (30303291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 教授 (60198124)
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
臺 美佐子 金沢大学, 保健学系, 助教 (50614864)
横野 知江 (西澤知江) 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50579597)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 振動 / 下肢虚血 / 疼痛緩和 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、末梢動脈疾患(peripheral arteial disease:PAD)患者のなかでも、重症虚血肢(crintical limb ischemia:CLI)を呈する患者が経験する疼痛を「振動」によって緩和し、QOL向上を目指すものである。振動ケアは人体に安全な範囲の振動数であり、無侵襲である。至適振動は、末梢循環促進が期待でき、下腿部に振動を与えることにより、下肢末梢循環が促進され、結果として疼痛緩和が得られると考えられる。対象のPAD患者はフォンティーンⅠ~Ⅲ度であり、診療科医師より紹介を受け、事前・事後設計にて振動ケア前後の(1)末梢循環と(2)疼痛(自覚症状)(3)QOLの変化について調査した。振動ケアは1回15分とした。対象者によって1日2回実施者と1回実施者があった。最終年度は、前年度からの継続調査であり、同意を得て対象者を蓄積した。対象者の66%はフォンティーンⅡ度、17%はフォンティーンⅢ度であった。 (1)末梢循環促進効果は60%の対象者に得られた。効果ありの対象者では経費酸素分圧(tcPO2)で平均8.2mmHg上昇した。(2)自覚症状があった対象者の57%に疼痛緩和効果が得られた。(3)QOL評価票を用いた調査ではsymptomとpainの項目で有意に得点が低くなった。しかしQOLに関しては介入期間が短期間であったため、「QOL向上」という結果には至らなかった。振動ケアにより「効果がある」対象者を下肢血流指標ABI値で考えると、ROC解析の結果ABI0.8がカットオフ値として提案できる。 振動ケアは対象者自身が自由なタイミングで実施でき、負担が少ない介入である。末梢循環促進効果や自覚症状緩和には有効であると示唆されるが、今回の介入は短期間であり、長期に実施した場合の末梢循環促進効果は今後検証が必要である。
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