2015 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市の高齢がん患者と家族の療養生活を支える「文化」を基盤とした看護モデル開発
Project/Area Number |
25463423
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
酒井 禎子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60307121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん / 高齢者 / 家族 / 文化 / 地方都市 / 看護モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①地方都市にあるがん診療連携拠点病院で医療を受けている高齢がん患者と家族がどのような療養生活を送っているかを明らかにすること、②高齢がん患者と家族の療養生活を支援するための「文化」を基盤とした看護モデルを構築することである。平成25~26年度にかけて、化学療法・放射線療法を行う75歳以上の食道がん患者と家族8事例を対象とした参加観察や面接調査を行った。 平成27年度には、医療者側の視点から高齢がん患者・家族の療養生活をとらえるために、医師に面接調査を実施した。治療においては、年齢や既往歴を考慮しながら治療方針を検討しているが、年齢だけでは区切れない高齢がん患者の治療方針の決定の難しさが医師側の課題となっていた。また、医師に「おまかせ」し、「流れのまま」に委ねようとする高齢がん患者・家族の意思決定の傾向が見受けられることが指摘されていた。療養生活では、単独世帯の高齢者であっても、兄弟姉妹や友人、あるいは近隣のサポートが得られ、通院においても助け合っている状況が伺われていた。 これらの結果をもとに、①老化や慢性病、そして「がん」を併せ持つことによる生理的な脆弱性を考慮した治療とセルフケア支援、②加齢により低下した理解力や患者の文化に基づく健康観を擁護しつつ、「アドバンス・ケア・プランニング」の視点に根ざしたがん医療と療養生活における意思決定支援、③高齢者世帯であることや通院の困難さ等に伴う患者と家族の心理・社会的脆弱性を支え、コミュニティの“強み”を活かしたサポートシステムの構築、④がん診療連携拠点病院とかかりつけ医・ケアマネージャー・介護保険施設等の地域の医療・保健・福祉専門職をつなぐ包括的・集学的アプローチ、⑤認知症をあわせもつがん高齢者の症状マネジメントや不確かな予後における終末期の療養の場の移行への支援という5つの要素からなる看護モデルを検討した。
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