2014 Fiscal Year Research-status Report
非がん疾患患者の緩和ケア実践における教育プログラム開発に向けた基礎的研究
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25463448
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (80308288)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非がん / 緩和ケア / 看護教育 / 看護実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究目的:非がん疾患患者のエンド・オブ・ライフ期の緩和ケア・看護実践に関する実態を明らかにした。調査対象者:300床以上の地域医療支援病院に勤務し、心・呼吸器・腎疾患患者の看護経験のある3年目以上の看護師282名(654名に配布、回収率43.1%)。調査方法:無記名自記式の調査用紙を配布、郵送により回収した。調査内容:年齢、看護実践経験年数、所属部署、教育背景、がん患者の緩和ケアの経験、非がん緩和ケアに関する体験等独自に作成した項目。緩和ケアに対する知識・態度・困難感尺度(宮下他)を非がん患者に改変して使用した。調査実施期間:平成26年11月~12月。分析方法:統計的分析。結果・考察:回答者平均年齢36.6歳。実務経験平均13.9年。がん患者の緩和ケア経験有74.8%。非がん疾患患者の緩和ケアコンサルテーション依頼経験有47.5%。非がん疾患患者の場合、積極的治療と苦痛の緩和とのバランスが難しい(51%)、緩和困難な症状がある(61.7%)、エンド・オブ・ライフ期の治療に対する意思確認のタイミングが難しい(60%)、看取りを視野に入れた関わりをいつから始めるか難しい(46.8%)、緩和ケア=がん緩和のイメージがある(43.2%)と回答した。緩和ケアに関する知識のうち、正答割合が低いのは、医療用麻薬による呼吸抑制の項目(正答13.5%)であった。非がん疾患の緩和ケア・看護に関する教育は、がん疾患の場合を基盤としつつも、非がん疾患に特有の内容をさらに検討する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に実施した面接調査、26年度に実施した質問紙調査を通し、慢性心不全、慢性呼吸器不全、慢性腎不全患者の終末期の緩和ケアに関して、看護師が経験している困難さや学習ニーズについて明確化することができた点において、おおむね研究計画は順調に進展していると評価した。平成27年度は、これらの調査結果をもとに、非がん疾患の緩和ケア実践において必要な看護教育内容(主要概念・援助方法論など)を明確化し、最終的な成果につなげていくことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に実施した看護師への面接調査、平成27年度に実施した質問紙調査の結果を検討し、以下に取り組む。 1)非がん疾患の緩和ケア実践に関する国内外のテキスト、教育内容について再度検討する。2)1)と本調査結果から得た看護師の学習ニーズを比較し、必要な教育プログラム案(主要概念・援助方法論、具体的な教育項目)を作成する。3)2)で作成したプログラム案について、国内外で、既に実施されているエンド・オブ・ライフケアに関する教育プログラム(LNEC-J等)の内容と比較検討する。4)明確化した教育プログラム案について、非がん疾患患者の緩和ケア実践に精通した専門家にヒアリングを行い、妥当性を検討する。また、がん疾患の緩和ケアに関する看護教育において蓄積された知見の応用可能性、今後の教育プログラムの展開における連携を検討する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した調査において、計画していたデータ収集において、研究協力施設担当者の協力により調査用紙の配布協力を得ることができた。そのため予定していた旅費が削減できたため、次年度に繰越て使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の計画として、作成した教育プログラム案について、国内外の学会等における情報収集、専門家からのヒアリングを実施する予定であり、その際の旅費として使用する計画である。
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