2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢初産婦が産後1ヵ月間の母親役割獲得過程に生じるストレスに関する縦断研究
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25463473
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤岡 奈美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382375)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢出産 / 初産婦 / 唾液アミラーゼ値 / 睡眠覚醒リズム / ストレス / 育児困難感 / 主睡眠時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
出産後1ヶ月間の35歳以上の高齢初産婦のストレス生体反応の経時的変化と主睡眠時間(1日の最も長い睡眠時間)、および産後うつ傾向の実態を調査し、高齢褥婦の睡眠の特性、およびうつ傾向との関連を明らかにするため、現時点での平均年齢は、対象者群37.3±2.0才、コントロール群27.3±3.4才であり、対象者群は結婚年齢も遅く、56.7%が不妊治療によって妊娠している事が判明している。対象者群とコントロール群の主睡眠時間には、全ての調査時期に差があり、コントロール群より約1時間少なかった(p<0.01)。また、EPDS得点(エジンバラ産後うつ病調査)は、対象者群の経時的変化のみに有意差を認め(p<0.01)、特に産後3日と14日において、14日が得点は高く(p<0.01)、主睡眠時間とEPDS得点には負の相関を認め、主睡眠時間が短いと、うつ得点が高い事が示唆された。唾液アミラーゼ値は、出産直後から、対象者群のアミラーゼ値の方が有意に高く(p<0.001)、年齢によるストレス生体反応に相違があった。また、両群共に、産後14日のアミラーゼ値が最も高値を示していた。 産後5日と14日に実施したPOMS(Profile of Mood States-Brief Form)では、対象者群の「混乱」は5日よりも14日の方が高く、コントロール群は緊張感、抑うつなどのネガティブ感情は、5日より14日の方が低かった。産後1ヶ月時の育児困難感は、育児困難感1;母親としての不適感、心配(p<0.01)、および抑うつ傾向(p<0.05)、乳児の気質への育てにくさ(p<0.01)において、それぞれ対象者群の方が高かった。育児困難感とPOMSには、夫の心身の不調と母親の思考力低下、不安感、孤立感とに正の相関を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、母親役割獲得過程(出産直後より出産後1ヶ月間)におけるストレス、およびストレスに影響を及ぼす因子(授乳状態、育児困難感、睡眠覚醒パターン 他)について縦断調査を実施する事を目標としている。 本研究への協力が得られた産科医療機関4施設において、20歳以上の初産婦150名(高齢初産婦75名、適応年齢初産婦75名)を調査対象者としていたが、現在までのところ、産科医療施設2施設において、目標数の約6割に当たる高齢初産婦35名、コントロール群56名の調査を終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢出産女性の出産時のリスクにより、出血量が多く(500ml以上)、帝王切開への移行者も少ないために、目標症例である正常な経膣分娩を辿った高齢出産女性のデータ数が目標よりも少なくなっている現況である。しかしながら、研究目的における結果を提示する事は可能であると予測している。
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Causes of Carryover |
平成26年度には、実施内容として変更はなく、当初予定したとおり執行したが、1221円の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析のための統計ソフト等々の購入および、研究成果発表のための学会参加費、英語論文を投稿するための準備に経費を使用する予定である。 なお、この未使用額については、平成27年度の学会への旅費・参加費と合わせて使用する。
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