2013 Fiscal Year Research-status Report
島嶼部,過疎地の看護職者のための遺伝教育プログラム開発に関する研究
Project/Area Number |
25463476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 規子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90315268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 春美 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00209933)
森藤 香奈子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70404209)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一次遺伝相談 / 遺伝看護教育 |
Research Abstract |
長崎県において,遺伝相談は地域住民にとって身近な看護職者が相談相手となっている現状があり(佐々木,2011),中でも島嶼部や過疎地の看護職者の役割は重要と考える.そこで,H25年度は計画1.クライエントおよび家族会の人々の遺伝相談のニーズを知る,計画2.一次遺伝相談を担う保健師の遺伝相談の経験を知る,ことを目的とした. 計画1.は倫理委員会申請準備中である. 計画2.は島嶼部,過疎地の保健所及び保健センター4施設に勤務する保健師27人の同意を得て実施した.調査方法は施設毎にフォーカスグループインタビューを実施し,修正版グラウンデッド・セオリーを用いて質的に分析した. インタビューでは保健師らは<保健師の経験>だけでなく,<保健師が経験からとらえた地域住民>についても語っていた.保健師は業務の中で様々な遺伝相談に対応しており,地域の遺伝相談において保健師の役割が大きいことは明らかであった.保健師からみた地域住民は島特有の人間関係や遺伝の認識から遺伝相談に抵抗を感じていた.そのため遺伝の情報源はマスメディアによるものであり,不要な不安と混乱を抱く可能性をもっていた.また,長崎県内には遺伝相談の専門機関や専門職が少ないことも,遺伝相談受診に影響していると考えられた.一方,保健師は対応する様々な遺伝相談に無力感を抱いていた.その要因として,自身の遺伝相談という認識の乏しさ,遺伝に関わる情報や保健師自身の相談相手の欠如,地域住民の遺伝相談への抵抗感が考えられた.今後,これらの見解を基に対象数を増やして調査を行いたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は計画1.「クライエントおよび家族会の会員等への遺伝相談のニーズ調査」と計画2.「島嶼部,過疎地の一次遺伝相談における看護職者の関わり」から遺伝相談を受けた看護職者の困難の要因を明らかにすることを目標とした. 計画1.については倫理委員会申請準備段階であり,実施に至っていない. 計画2については,当初計画では対象施設8施設であるが,現在までに4施設の調査が終了している状況である.遺伝性疾患患者が多い地区の保健師の調査が実施できていないこと,県の保健師と市町村の保健師の役割や認識の違いがこれまでの調査で示唆され,地域の特徴を考慮した検討にはデータは不十分である.よって平成26年度も引き続き調査を継続したい.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,計画1.「クライエントおよび家族会の会員等への遺伝相談のニーズ調査」の調査(質問紙調査)を開始する.並行して,計画2.「島嶼部,過疎地の一次遺伝相談における看護職者の関わり」は調査を引き続き実施する.計画1の遺伝相談を受ける側のニーズと計画2の遺伝相談を提供する側の現状とを照らし合わせ,計画3.「島嶼部,過疎地の看護職への遺伝教育プログラムの開発」として,その地域の看護職者に必要と思われる教育プログラムの検討に取り掛かる.その検討には地域の看護職者の協力を依頼する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画1(郵送質問紙調査)の実施が遅れているために,調査にかかる郵送費とデータ入力のための研究補助員の雇用がなく,そのため平成25年度経費に差額が生じた. 計画1(質問紙調査)を実施する.調査の協力依頼及び質問紙調査のやり取りは郵送手段を使用する.また,収集したデータの入力作業に研究補助員を雇用する. 計画2(インタビュー調査)は引き続き実施するため,旅費およびインタビューのテープ起こしのために研究補助員雇用する. 計画3(遺伝看護教育プログラムの開発)には地域の看護職者の参加を依頼予定であり,協力者の旅費を負担する.
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