2013 Fiscal Year Research-status Report
妊婦の胎児への愛着形成促進法の探求ー妊娠、分娩、産褥期のオキシトシンの推移からー
Project/Area Number |
25463477
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒木 美幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10304974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 正太 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50448495)
大石 和代 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00194069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産褥早期 / 唾液オキシトシン / 授乳前後 |
Research Abstract |
産褥4日もしくは5日の産褥経過に異常所見がない褥婦24名に対して、基本属性(年齢、出産日、母乳育児の希望)を記入してもらい、授乳前後に日本版POMS(Profile of Mood States)短縮版を測定する。また、授乳前30分、授乳中、授乳終了後30分後に唾液アミラーゼと唾液OXTの採取を行い、授乳時間を測定した。 [結果] 研究の同意が得られた24名のうち、環境設定の不備により2名、アンケート一部の未回答により1名、唾液の解析が不可能だった4名を除いた17名を分析対象とした。平均年齢は30.1±5.4歳、褥婦の産褥日数は4.6±0.5日であった。また、授乳時間の平均は20.5±6.1分であった。1.授乳前、授乳中、授乳終了後30分後の唾液OXTの変化は授乳前では6.9±4.0pg/ml、授乳中では12.2±6.1pg/ml、授乳終了後30分後では11.0±4.4pg/mlであった。授乳前と比較して、授乳中の唾液OXT値は、有意に上昇した(p=0.002)。授乳中から授乳終了後30分後の唾液OXT値は、下降は見られたものの有意な差はみとめられなかった(p=0.45)。また、授乳前と授乳終了後30分後の唾液OXT値では、有意な差がみとめられた(p=0.012)。授乳前から授乳終了後30分後のOXT値の差と授乳時間については、相関はみとめられなかった。2.授乳前、授乳中、授乳終了後30分後の唾液アミラーゼ値の変化 唾液アミラーゼ値の変化については有意な差はみとめられなかった。 3.授乳前後の情動(POMS)の変化は授乳前後のPOMSについては、「緊張-不安」、「活気」、「疲労」において有意な差が見られた。「緊張-不安」は、授乳前51.1±9.3点、授乳後40.9±9.5点と有意に低下した(p<0.001)。「活気」は、授乳前49.4±7.8点、授乳後53.0±7.2点と有意に上昇した(p=0.011)。「疲労」は、授乳前46.1±7.8点、授乳後41.1±5.1点と有意に低下した(p=0.003)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体としては、1.妊娠、分娩、産褥期の唾液中オキシトシンの推移と心理測定値との関連、2.妊娠期の胎児愛着形成促進法によるオキシトシンの変化について調査し、妊娠期の胎児愛着形成促進に有効な方法を実証することを目的に調査を行っている。実際には25年度は産褥早期の女性の授乳前後のオキシトシンの変化について実施し、分娩期については測定可能かどうかのプレ調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、妊娠期の唾液オキシトシンについて測定を行っているところであり、分娩期の測定法が確実に行えることを検証後、妊娠期から分娩期、産褥期と継続的に測定を行い推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)妊娠、分娩、産褥期の唾液中オキシトシンの推移と心理測定値(不安、愛着尺度)と関連、2)妊娠期の胎児愛着形成促進法によるオキシトシンの変化、3)促進群と非促進群による比較研究から、妊娠期の胎児愛着形成促進に有効な方法を実証することを計画している。25年度は分娩期のプレ調査および産褥期の研究を行っているが、妊娠期、分娩期と継続して推移をみることができていない。 26年度に妊娠期、分娩期のオキシトシンの推移と心理測定を実施する予定である。
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