2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児へのプレパレーションに対する促進要因と阻害要因から導いた実践とその効果
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25463496
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山口 孝子(久野孝子) 名古屋市立大学, 看護学部, 講師 (90315896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 法子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (90249342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プレパレーション / 幼児 / MRI / CT / RI |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究プロジェクトの全体構想は、小児医療におけるプレパレーションのさらなる普及に向けたシステムを構築することである。プレパレーションの主たる実施者である看護師において、プレパレーションが必要であるという意識をもっているにも関わらず、十分実施することができない実態が報告されている。そのため、我々は先行研究でそのずれに関する促進要因と阻害要因を明らかにした。前年度に引き続き、阻害要因『実施に対する自信のなさ』に焦点をあて、MRI・CT・RI検査におけるプレパレーション(iPadを用いたオリエンテーションブックの作成、模型を用いたリハーサルの導入、検査室の事前訪問の3つを主な看護援助)の効果についてデータ収集を開始し、分析することをH26年度の目標とした。 その結果、13事例についてそれぞれ患児・家族、病棟看護師、検査室看護師の立場からデータが得られ、患児は非鎮静・鎮静下の場合でも概ね検査に意欲的に取り組むことができた。その結果の一部を、アジア・パシフィック小児看護学会(香港)にて発表し、参加者の方々と有益な意見交換をすることができた。 今後はさらにデータ数を積み重ね、患児への効果について科学的に検証することを目指す。また、H27年度より新たに配属となった病棟保育士とも協同し、新しく検討したプレパレーションを多くの看護師が自信をもって実施できるように病棟内研修を充実させることや、当介入により看護師や他職種のプレパレーションに対する意識や実態がどのように変化したのかを検証することが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したH26年度の研究計画では、看護学生や看護師への促進要因『患児の基本的人権の尊重』の介入実験と効果判定をあげていたが、臨床現場では阻害要因『実施に対する自信のなさ』への介入ニーズが高かった。入院・受診する子どもへの最善の利益を考えた場合、こちらの要因に取り組むことが急務と考えた。また、我々の先行研究(H21~24年度)において、看護師がプレパレーションの効果を、知識ではなく自らの「成功」経験を通じて実感することが、より深く認識するうえで重要であることも明らかとなった。そのため、今回は阻害要因『実施に対する自信のなさ』に焦点をあて、プレパレーション方法の効果についてデータ収集を継続し、解析・学会発表を実施したことより、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度より新たに配属となった病棟保育士とも協同し、新しく検討したプレパレーションを多くの看護師が自信をもって実施できるように病棟内研修を充実させることや、当介入により看護師や他職種のプレパレーションに対する意識や実態がどのように変化したのかを検証することを予定している。 また、交付申請書には、看護学生や看護師への促進要因『患児の基本的人権の尊重』の介入実験と効果判定を計画していたが、臨床現場では阻害要因『実施に対する自信のなさ』への介入ニーズが高いことや、看護師がプレパレーションの効果を、知識ではなく自らの「成功」経験を通じて実感することがより深く認識するうえで重要であることより、今回の研究プロジェクトでは阻害要因『実施に対する自信のなさ』に焦点をあて、深く取り組むこととする。したがって、今後はプレパレーション方法の効果について科学的に検証するとともに、プレパレーション方法の一般化についてもより汎用性のある形(アプリ作成・配信等)で公表することを目指す。
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Causes of Carryover |
H26年度は、研究協力施設が病棟編成に伴う工事や入院患者制限、看護体制の変更があり、当初予定していたデータ収集数が確保できなかった。初年度から予算計画にあげていたデータ分析用ソフト(SPSS)は毎年最新のものが発売されるため、データ分析時に購入できるように、現在も見合わせている。また、保育士の雇用を検討していたが、HPS(ホスピタル・プレイ・スペシャリスト)の資格をもつ看護師や保育士の会議へ参加することが認められ、プレパレーションの専門家より、当該研究やその成果について発表し、意見交換する機会を得ている。さらに、保育士を研究協力者として病棟配置することも検討していたが、H27年度4月より病院予算にて保育士の常勤化が承認され、我々の研究での協同も可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記に述べたように、予算の繰り越し分については、本研究のデータ分析をする際の最新のソフト購入に充当する。また、プレパレーションのツールがないことにより、当該研究施設のみならず全国的に看護師のプレパレーションの実施が滞っている実態に鑑み、保育士への謝金分については、今回の研究成果をより汎用性のある形(アプリの作成・配信など)で公表することを予定している。その他、H27年度予算については、計画通りの執行を予定している。
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Research Products
(1 results)