2015 Fiscal Year Annual Research Report
出産女性を支援する助産師の共感疲労の実態とメンタルヘルスへの影響
Project/Area Number |
25463508
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 道子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (50341681)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共感疲労 / 助産師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、出産女性を支援する助産師の共感疲労の実態を把握することである。最終年度である平成27年度は、質問紙調査と共感疲労を経験した助産師へインタビューを実施した。 質問紙調査は、北海道内の分娩取扱い施設60病院および38診療所の看護部門責任者宛に研究協力依頼状を送付し、承諾が得られた施設に助産師の人数分の研究協力依頼文、調査票、返信用封筒のセットを送付し、看護部門責任者に配布を依頼した。調査票は、対象者の基本的属性、共感疲労を経験した出来事、改訂出来事インパクト尺度日本語版(Asukai, 2002)、コーピング特性簡易評価尺度(影山, 2005)、看護師のレジリエンス尺度(Ihara, 2010)の質問項目で構成した。研究協力に承諾した42施設の助産師290名から回答を得た。心的外傷性ストレス症状を測定する改訂出来事インパクト尺度日本語版(IES-R)のカットオフポイントを基準としたハイリスク群は、有効回答276名中66名(23.9%)であった。この割合は、Beck(2015)の研究結果の一部とほぼ合致していた。IES-R得点の関連要因で有意差を認めたのは、単変量解析では看護師レジリエンス尺度合計得点とコーピング特性簡易評価尺度の下位尺度得点「他者への情動」「視点の転換」であった。助産師の経験年数は、有意差が認められなかった。 インタビューは、研究参加への同意が得られた7名の助産師へ実施した。インタビュー内容は、「外傷的出産となった女性への支援中・支援後に経験した知覚と感情」「専門職としてのキャリアの変化」「助産師が外傷的出産に関わることへの考え」とした。分娩時大量出血のため他施設へ搬送された女性との関わり、若年女性の出産、新生児死亡、死産の支援での経験が語られた。出産により傷ついた女性を支援した助産師も、外傷性ストレスを強く知覚していた。
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