2015 Fiscal Year Research-status Report
小中学校教員の子どものグリーフに関する認識とグリーフケア
Project/Area Number |
25463509
|
Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
茎津 智子 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (10177975)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 子どもの死別 / 小学校教員 / 中学校教員 / 子どものグリーフ / グリーフサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの調査結果の分析により、小中学校教員は死別を経験している子どもと接する機会があり、関わった経験を持つ教員の半数は関わりの必要性を感じていながらも、関わりに消極的な現状が明らかになった。その背景は、どのように関わったらよいのかわからない、子どもには死は辛すぎるのであえて話さないなどの回答が見られた。このように教員は、子どもへの関わりの必要性を感じながらも、死の問題をきっかけとして子どもと関わることへの躊躇や当惑があることが推察された。一方で家族との死別の問題は、家族の問題で教員や学校が関わる問題ではないとの回答も少なからずあった。今年度はさらに質問紙の教員の自由記述内容に注目し、テキストマイニング法により分析を行った。その結果、小学校教員は、子どもの思いに共感する「悲しい」「辛い」という感情表現が多く出現し、日常生活や日頃の様子を気にかけていること、また死を通して「命」「生きる」ことの大切さを伝えたいと考えいるという特徴があった。中学校教員では、生徒の気持ちを「聞く」「話す」ことを大切とし、人の死、生について考えることが大切と考えていた。また、教員の立場や学校では関わりが難しい、家庭それぞれの問題とする記述が多かったのもの特徴であった。小中学校教員のとらえ方の特性が明らかになった。 先行研究では子どもは、学校の先生に死別の経験時にもっと話を聞いてほしい、気持ちをわかってもらえないなどの思いがあることが報告されている。このように教員と子どもの思いに差があるといえる。小中学生の子どもたちは、日常生活の多くの時間を学校の中で教師や同級生と過ごすことになり、今後学校現場での子どものグリーフサポートのあり方を検討し、実践・評価を行っていくことが、課題として重要であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小中学校教員対象の質問紙による調査は終了し自由記述内容についてはテキストマイニング法による分析を終了し、より多角的に教員の認識を明らかにした。 昨年度までの調査結果については3件の学会発表を行った。また、テキストマイニング法による自由記述内容の分析結果は、平成28年7月の学会で2件の発表を予定している。調査結果の学会による公表は順調に進めているが、論文作成が大学本務における仕事の忙しさにより遅れていること、また協力学校などの開拓が十分に進まず、子どものグリーフサポートについて小中学校教員とともに子どものグリーフサポートの実践による評価が進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度から研究者が所属先の変更もあり、新所属先が、幼稚園から大学までをもつ総合学園であること、また、大学には心理学科がありカウンセリングセンターを開設しているという所属先のメリットを生かすことで研究を推進する予定である。具体的には、小中学校教員の協力なども得て子どものグリーフサポートの実施、介入などの実践評価を行い研究成果としてまとめていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
小中学校における子どもへのグリーフサポートの実践・評価に関する内容及び論文作成が遅れていることによる投稿費用、資料収集に関して十分に行えなかったことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
小中学校の協力施設の確保と小中学校教員の協力により、グリーフサポートの実施・評価として教員への質的調査の実施を予定している。論文作成により内容を整理し、2件ほどの投稿を考えている。
|
Research Products
(6 results)