2014 Fiscal Year Research-status Report
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25463535
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
津間 文子 福山平成大学, 看護学部, 講師 (30572987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 馨(篠原馨) 福山平成大学, 看護学部, 准教授 (10379688)
橋本 和子 福山平成大学, 看護学部, 教授 (70263978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 父親 / 育児参加 / プログラム開発 / 子育て支援 / ライフコース / 主観的幸福感 / 専門職の支援 / 実践者モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、父親の育児参加促進プログラムの開発と実用化を検討し、家庭内における育児役割の均等化を図ることである。そこで、妊娠期から父親の育児参加へ向けてのサポート環境が向上できるプログラムを考案する。そのために、父親の育児参加のニーズと既存の父親の育児参加支援の実態を分析したうえで、プログラムを作成し、実施・評価を通して実用化を検討する。平成26年度は、1)父親の育児参加のニーズに関する平成25年度の基礎調査の分析、2)既存の父親の育児参加を支援している専門職の調査として父親の育児参加支援を実施している看護専門職に対する半構造化面接と分析、3)父親の育児参加に関連する国内外の文献調査として福祉・教育・看護および周辺領域における父親の育児参加に関する文献の検索、4)平成25年度の基礎調査をもとに父親の育児参加プログラム試案「絵本の読み聞かせ」を実施した。
研究者は、これまでのデータから父親の育児参加促進プログラムの開発と実用化の時期と場所の検討のため、父親が有する育児経験の活用と強化により、子育て参加が可能になるライフコースを選択できるような家庭教育と学校教育の連携を考えた社会的な支援の提案を検討していた。そこに平成26年度の調査及び分析結果を照合することで、妊娠期において子どもとのかかわりで主観的幸福感が高まる時期があるという知見を得た。今後は、具体的な支援内容と方法の実態調査を先進的な取り組み事例より示唆を得ることで、より具体な専門職の支援と支援者の実践を通して具体的に父親の育児参加促進プログラムの開発と実用化を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は、次の4点である。1)父親の育児参加のニーズに関する基礎調査:質的研究手法をテキストマイニングよりKJ法に変更し、川喜多晶子氏によるトレーニングを受け研究の持続可能性を高めた。量的調査では、基本属性(性別、年齢等)、子どもを持つことの希望や妊婦健診・産前教室の参加の有無、主観的幸福感に焦点を当てて分析した。統計解析にはSPSS Ver. 21を使用した。回答は、774名(有効回答率44.2%)から得られた。父親の妊婦健診の同行が主観的幸福感を高めていたことから、妊娠期における時間と経済的支援の重要性が示唆された。2)既存の父親の育児参加を支援している専門職の調査として父親の育児参加支援を実施している看護専門職に対する半構造化面接:保育士、助産師、保健師、栄養士各1名のインタビューの分析により、専門職の効果的な支援内容と支援方法の示唆が見いだされつつある。3)父親の育児参加に関連する国内外の文献調査として福祉・教育・看護および周辺領域における父親の育児参加に関する文献の検索:父親の育児参加は、少子化の抑制でもあった。母子保健学的アプローチ(リプロダクティブ・ヘルスアプローチ)と家計アプローチ(経済生活アプローチ)と考えられ、残された課題は、(1)国際的視点の導入、(2)ライフコースに沿った少子化研究の推進、(3)母子保健学的アプローチの推進、にあった。家族形成支援の視点からも、妊娠以前、カップル形成以前から始まるライフコースを見据えた長期の継続的な支援の必要性が示唆された。 4)平成25年度の基礎調査をもとに父親の育児参加プログラム試案「絵本の読み聞かせ」:父親の育児参加促進プログラム試案として「絵本の読み聞かせ」を研究者の所属する大学で講座を開催し、2組の親子に参加協力を依頼した。受講の感想およびその後の変化を追跡調査している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成25・26年度の実施内容である、1)父親の育児参加のニーズに関する平成25年度の基礎調査の分析、2)既存の父親の育児参加を支援している専門職の調査として父親の育児参加支援を実施している看護専門職に対する半構造化面接と分析、3)父親の育児参加に関連する国内外の文献調査として福祉・教育・看護および周辺領域における父親の育児参加に関する文献の検索、4)平成25年度の基礎調査をもとに父親の育児参加プログラム試案「絵本の読み聞かせ」に関してのデータ整理・分析を進めつつ、5)専門職の効果的な支援内容と支援方法の示唆をもとにした全国調査を行う。
5)専門職の効果的な支援内容と支援方法の示唆をもとにした全国調査は、「子育て支援者が育児期にある父親・母親に対して効果的であったと感じる支援は何か」について、平成25年3月「全国自治体の子育て支援施策に関する調査 報告書(概要版)」(内閣府)で報告された市区町村全体として取り組んでいる先進的な事例30件の市町村に行う予定である。「子ども・子育て関連3法」が2012 年8月の第180 回国会(常会)にて成立し、新制度においては、「地域子ども・子育て支援事業」(子ども・子育て支援法第59 条に規定する13事業)について、基礎自治体である市区町村が主体となって実施することとされており、すでに市区町村全体として取り組んでいる先進的事例がみられている。こうした先駆的な取り組みをしている子育て支援者からみた、父親と母親の育児の実態と支援の実際の聞き取り調査及び参与観察により、支援者の実践を通して具体的に父親の育児参加促進プログラムの開発と実用化を検討する。
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Causes of Carryover |
3年間の研究計画において、2年目より開始した、「絵本の読み聞かせで子育て・孫育て」講座後の経過観察を母親より聞き取り調査の結果、効果判定時期を3年目に行うことが妥当と判断した。効果判定には、時間を要することが判明した。また、専門職(保健師、助産師、保育士、栄養士)のインタビューを分析し、支援方法の検討を行うにあたり、専門知識の提供の依頼、校閲等に時間を要し、年度内に論文作成までに至らなかった。さらに、先駆的取組である父親の育児参加促進の講座「パパデー」の参加観察が行えていなかった。よって、これらの謝金や、旅費、投稿料、英文翻訳のための校閲に関する謝金等を執行することができず、3年目で使用するに至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)KJ法のトレーニングの継続と論文作成に当たりスーパーバイズを受ける予定である。トレーニング受講とスーパーバイズのための受講費・交通費・宿泊費。2)専門職の効果的な支援内容と支援方法の示唆をもとにした全国調査は、全国30か所に郵送する送料および協力を得られる自治体に対するインタビュー、参与観察などのための交通費・宿泊費。インタビューに際しては、研究協力者に対する謝礼。3)これまでの結果の一部を国内・国際学会に発表するための参加費・交通費・宿泊費・ポスター制作費・英文翻訳・校正にかかる費用。ただし、国際学会は、国内で開催されるため、その予算の一部を現地調査の充実にあてる。4)研究成果の中間報告としてまとめたものを論文にまとめ投稿する予定であり、その投稿料。
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Research Products
(4 results)