2014 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中の快・不快体験が分娩・育児に及ぼす影響に関する研究
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25463537
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
新川 治子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (90330711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイナートラブル / 妊娠 / 快・不快体験 / 対児感情 / 自己肯定観 / 分娩経過 / 育児不安感 / 産褥経過 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は妊娠中の快・不快体験が妊娠・分娩経過、および育児に及ぼす影響を明らかにし、妊娠期のケアの在り方を検討するためのエビデンスを見出すことを目的としている。その背景には、予てより妊娠中はその後に起こる分娩や育児に備えるための大切な時期であり、妊娠中の快適さが分娩や育児の取り組みをスムースにすると言われてきたが、根拠となるデータは未だないということがある。そのため、不快体験はマイナートラブルとして扱われ、妊婦の自己管理に任されている。 本年度は、昨年度に引き続き、調査A(妊娠中の快・不快体験と、妊娠中に発達することが期待される母性性や妊娠中の合併症との関連)と、調査Aの参加者を対象とした調査B(妊娠中の快・不快症状が及ぼす分娩・育児への影響)を実施した。その結果、3月末までに調査A,Bそれぞれ450部(回収率36%)、114部(64%)を回収することができた。そこで調査Aの分析結果から、妊娠中の快・不快体験と妊婦の対児感情、自己肯定観との関連、妊娠中の合併症との関連に関し、中間報告として、2015年度初めに開催される国際学術集会で報告する。 また本年度初めには、ICM(国際学術集会)で、本研究に関連する領域の情報収集と、本研究に関連した意見交換を行った。その後もいくつかの国の助産師から本研究に関する問い合わせを受け、対応している。さらにそこでの情報収集や意見交換を基に、人種、生活習慣、生活環境等の違いによる快・不快症状の出現頻度や種類について、今後協働して調査の準備を行っていくことなった。これは、本研究の成果を国内外で活用できるようにしていくうえで重要な取り組みになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度であった2013年度は、調査票の見直しや所属機関の倫理審査会の改変のため、大幅に調査が遅れた。しかし、2014年度は調査協力施設内のスタッフの協力が得られたことや、臨時要員を採用できた。これらにより、調査Aの実施については、ほぼ当初の計画に追いつくことができた。学会での成果報告に関しては、2013年度の遅れの影響で、年度をまたぐこととなったが何とか実施にこぎつけた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2015年度は最終年次であることから、調査A(妊婦を対象とした横断調査)は7月までに予定の2500の調査票の配布を終了する。また、調査Bについては分娩から産後1年までの縦断調査であることから、同意の得られている全ての対象者が産後1年に達するまで調査を継続する。 2.調査Aに関する成果は、7月の国際学会での報告、意見交換等も参考にしながら投稿をする。 3.調査Bに関しても、今年度中にデータ収集ができたところまでを分析し、投稿を目指す。また、十分な対象者数を確保しより一般性を高められるよう、研究を継続するための助成金の獲得にも取り組む。 4.本研究成果を国内外でも活用できるようにするため、現在準備を進めている2国間、もしくは複数の国間での人種や民族、生活習慣や環境を因子とする比較調査研究についても準備をする。
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Causes of Carryover |
本年度はおおむね計画通りに調査票の配布、およびデータの整理、成果発表の準備等、研究を遂行することができた。しかし、前年度に調査票の見直しや学内の手続き上の変更に伴って、研究活動が遅れた分、縦断的調査である調査Bの計画が遅れている。また調査Aに関しては、当初予定していた回収率を下回ったことにより、郵送料などへの支出が少なかった。これが次年度使用額の大半を占めている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.調査票の配布に関し、調査A,B共に期間を延長し、予定している対象者数に近づける。その分、データの整理や解析にかける時間が短くなるため、臨時要員を本年度より1名多く採用する。併せて、調査票の印刷を一部開部に委託し、作業の効率化を図る。 2.本年度は学術集会での成果発表にとどまってしまったため、次年度は複数のジャーナルへの投稿、学術集会での報告を実施する。
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