2014 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中からの初産婦とパートナーに向けた乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムの作成
Project/Area Number |
25463538
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡本 美和子 日本体育大学, その他部局等, 教授 (70435262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳幼児揺さぶられ症候群 / 子どもの泣き / 両親学級 / 子育て支援 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、妊娠中からの初産婦とそのパートナーに向けた、乳児期の子どもの泣きへの理解と対応を含めた乳幼児揺さぶられ症候群(SBS;Shaken Baby Syndrome)予防プログラムを作成することである。予防プログラムを作成するにあたっては、先行研究(Okamoto,M.2013)で実施した妊娠中からの子どもの泣きへの対応を含む子育て支援プログラムの内容を中心に、海外のSBSに関する先行研究を参考にした。 平成25年度は、予防プログラム実施で使用するDVD及び小冊子を作成した。平成26年度は、出産施設において開催する両親学級で、上記のDVD及び小冊子を実際に取り入れ、質的研究方法によりその介入効果を吟味することにした。対象は学級に参加した妊娠後期の初産婦とパートナーで本研究への調査協力に同意した5組である。子どもの泣きの特徴、泣きへの対処方法、SBSに関する知識、SBS予防に関連した対処方法、支援者としての気付きと理解状況を学級終了後に半構造化面接法にてインタビューを行った。現在、内容分析の途中であるが、両親ともに持続する泣きへの理解と対処への心がけ、SBSの背景への理解と行為に対する意識の変化、SBSによる脳へのダメージに関する具体的な知識の獲得、孤立した子育てにならないための発想の転換、父親からはパートナーへの支援者としての心構えが認められた。平成27年度の継続研究では質的研究を発展させ、上記DVDと小冊子を取り入れた両親学級での介入効果を測るため質問紙法による仮説検証を実施する。
参考文献 Okamoto,M: Early parenting program as intervention strategy for emotional distress in first-time mothers. MCHJ, Open access, 2013.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、妊娠中からの初産婦とそのパートナーに向けた、乳児期の子どもの泣きへの理解と対応を含めた乳幼児揺さぶられ症候群(SBS;Shaken Baby Syndrome)予防プログラムを作成することである。 平成25年度は、予防プログラム実施で使用するDVD及び小冊子を作成し、平成26年度は、出産施設において開催する両親学級で、上記のDVD及び小冊子を実際に取り入れ、質的研究方法によりその介入効果を吟味することにした。研究を進めるにあたり、調査施設における倫理委員会の審査を受け承認後に実施した。調査対象は学級に参加した妊娠後期の初産婦とパートナーで本研究への調査協力に同意した5組であった。子どもの泣きの特徴、泣きへの対処方法、SBSに関する知識、SBS予防に関連した対処方法、支援者としての気付きと理解状況を学級終了後に半構造化面接法にてインタビューを行った。 内容分析の途中であるが、インタビュー内容をコード化しサブカテゴリー化の分類段階で、両親ともに持続する泣きへの理解と対処への心がけ、SBSの背景への理解と行為に対する意識の変化、SBSによる脳へのダメージに関する具体的な知識の獲得、孤立した子育てにならないための発想の転換、父親からはパートナーへの支援者としての心構えが認められた。 現在、カテゴリー化へとより抽象度を高める作業を行うとともに、研究の妥当性を確保するための討議を研究スタッフ間で実施している。 以上のことから、本研究における現在までの実施状況から、達成度の評価についてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、昨年度まで実施していた質的研究において、乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラム導入により、子どもの泣きの特徴、子どもの泣きへの対処方法、乳幼児揺さぶられ症候群に関する知識、乳幼児揺さぶられ症候群予防に関連した対処方法、支援者としての気付きと理解状況についての研究対象者の変化と、不足箇所の確認と吟味を深める作業を継続する。 また、質的研究で得られた内容を参考にしながら、乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムの介入効果を検証するための質問紙を作成する。 介入効果の検証については、調査施設で開催する両親学級において、通常の両親学級受講者を対照群、通常の両親学級に乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムを取り入れた学級受講者を介入群とし、プログラムの効果を追跡調査する。調査対象者は、選定基準に合致し、研究参加の同意が得られた初産婦とそのパートナーとする。調査対象者数は、質問紙の質問項目数から算定し対照群および介入群ともに50~60組とする。質問紙は郵送にて両親学級参加後1週、出産後8週頃の2回郵送、回答は無記名で返信用封筒で郵送にて回収する。 介入方法は、通常の両親学級に乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムを取り入れるとともに、乳児の泣きの量が増加する出産後2週頃に介入群の自宅に鑑賞・閲覧の依頼文を同封した介入プログラムのツール(DVDと小冊子)を郵送する。 介入効果については、基礎情報の群間比較はT検定とX2乗検定、多重比較にはTukey法を使用する。本研究では、質的研究と量的研究の混合研究法を取り入れる。質的研究で初産婦とパートナーの子どもの泣きへの認知の違いと変化のプロセス、社会的背景との関連性を解釈し、量的研究で効果を判定することで介入効果をより詳細に検討する予定である。
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Research Products
(3 results)