2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の転倒予防における看護実践能力育成のための評価指標の開発
Project/Area Number |
25463545
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
平松 知子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (70228815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 キヨ子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20115207)
加藤 真由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20293350)
谷口 好美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50280988)
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者 / 転倒予防 / 看護実践能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の転倒予防における看護実践能力育成のための評価指標を明らかにすることである。今年度は昨年度から継続して国内外の文献検討を行い、「その人と状況(環境)を理解し転倒を予測する力」「その人を中心とした転倒予防ケアを実践する力」「転倒予防看護の質を改善する力」の3項目に大別される高齢者の転倒予防における看護実践能力を確定した。次に、この実践能力を育成するための評価指標を特定する前段階としてプレテストを行った。つまり、立場の異なる専門家(病院の医療安全部門の看護師、臨床実践経験のある老人看護専門看護師、一般病棟の臨床看護師)に、確定した看護実践能力についての意見、およびその育成に関して自由に語ってもらった。その結果、確定した実践能力は適当であった。その育成については「知識の適応(高齢者の転倒に関する知識の蓄積と瞬時の判断による応用)」「本人と家族への介入」「多職種協働」「省察」が挙げられた。また、医療安全部門の看護師は「転倒を含む医療の質の向上」、老人看護専門看護師は「転倒予防におけるすべての看護実践能力の基となる患者主体の倫理的実践力の育成」、臨床看護師は「知識の適応の基となる知識を提示する必要性」について述べた。このことから、高齢者の転倒予防における看護実践能力育成の評価項目として、「知識の適応」「本人と家族への介入」「多職種協働」「省察」「倫理的な看護実践」「医療の質」に着目する必要性が示唆された。さらに、「知識の適応」の基となる知識について、高齢者の転倒との関連が深い日常生活動作である排泄に着目して転倒予防看護実践に必要な知識を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年、看護領域において臨床実践の質と安全教育の質保証への関心が高まっている。さらに、平成27年10月から医療事故調査制度が施行され、医療の質に関する書籍や文献が急増したため文献検討に時間を要した。さらに、高齢者の転倒予防における看護実践能力について、医療の質の視点と倫理的な視点の統合に関する検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、高齢者の転倒予防における看護実践能力育成の評価項目を特定し、さらに評価項目の実践状況と実行可能性を検討する。 まず、フォーカスグループインタビューによるデータ収集を行い、得られたデータを質的帰納的に分析し、高齢者の転倒予防における看護実践能力育成の評価項目を抽出する。対象者は、病院の医療安全部門の看護師、老人専門看護師、臨床看護師、計10名の予定である。インタビューについて、27年度の成果から、「知識の適応」「本人と家族への介入」「多職種協働」「省察」「倫理的な看護実践」「医療の質」について自由に語れるインタビューガイドを作成する。現時点で「医療の質」はDonabedian の「ストラクチャー」、「プロセス」、「アウトカム」の3つの構成要素に着目する予定である。 次に、抽出された評価項目について、郵送法による自記式の質問紙調査を行う。対象者は高齢者の転倒予防ケアを実施した経験のある看護師1,000名を予定している。内容について、基本属性は年齢、性別、職種、看護師経験年数、転倒予防に関する関心・役割意識・自己効力感である。評価項目は、実践状況と実行可能性について5段階のリッカートスケールで自己評価する。評価は項目毎に単純集計する。さらに基本属性との関係を検討する。
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Causes of Carryover |
研究者間の会議を2回予定していた。しかし、研究の進行が計画と比べて遅れたため、2回目に予定していた質問紙調査に関する会議を年度内に開催できず、研究者間の会議が1回となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は、質問紙調査の実施にあたり、研究者間の会議、アンケート用紙の作成、郵送、データ分析用ソフトの購入などを予定しており、旅費や物品費が必要である。
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Research Products
(1 results)