2015 Fiscal Year Research-status Report
介護老人保健施設の看取りにおける高齢者と家族の意思を引き出すケアモデルの開発
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25463551
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小野 光美 島根大学, 医学部, 講師 (20364052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 祥子 島根大学, 医学部, 教授 (90290494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | end-of-life care / 介護老人保健施設 / 高齢者看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,介護老人保健施設(以下,老健とする)において看取りの時期と判断された高齢者が最期までの日々を納得し,心地よい状態で生き抜くために,高齢者とその家族の意思を引き出し,支えるモデルを開発することである。 今年度も引き続き『老健の看取りのおける高齢者とその家族の状況,ケアの実態と課題の明確化』を目的とした。事例検討会(フォーカス・グループインタビュー)は,5施設8名の介護職者を対象に開催し,参加者それぞれが経験した事例を具体的に提示してもらいながらディスカッションを行った。看取りを行っていない施設も含まれており,看取りの時期と判断された高齢者とその家族にかかわることへの苦悩や工夫,大切にしていることなどが語られた。また,高齢者観や介護観についても語られ,多面的な視点から現状と課題が明らかになった。引き続き,実施予定である。 事例検討会(フォーカス・グループインタビュー)で話し合われた内容から,施設によって多種多様なケアが展開されている状況があることがわかったため,現在活動を公表している全老健(3,971施設)を対象に質問紙調査を実施した。その結果,施設内で死の看取りを行っている老健は,施設内で看取りを行う基本方針があること,事前指示書を作成していること,入所者の「食事量の低下」や「傾眠傾向」,「活動量の低下」をきっかけに看取りの時期ではないかと捉える傾向にあることが明らかになった。また,老健での看取りの有無によって入浴以外の日常生活援助は変わらないことや,施設内で死の看取りを行っている老健は,家族の揺れる思いが整理できるようかかわり,看取りの時期と判断された後も帰れる状況にあるうちは外出や外泊,自宅退所を試みる支援を行っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していなかった全老健を対象とした質問紙調査を実施したため,全体としてはやや遅れている。ただし,施設によって多種多様なケアが展開されている老健の状況について,本研究を遂行するうえで基盤となるデータが得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
事例検討会(フォーカス・グループインタビュー)は,研究目的を超え,それぞれの施設で行われている看取りケアをふり返り,他施設の状況を知ることで自施設の取り組みに関する自信や新たな工夫に繋がる情報を得る機会となっていることが窺えるため,引き続き開催する予定である。 最終年度は,事例検討会(フォーカス・グループインタビュー)と質問紙調査の結果をもとに,看取りの時期と判断された高齢者が最期までの日々を納得し,心地よい状態で生き抜くために,高齢者とその家族の意思を引き出し,支えるモデルを考案していきたい。モデルの原案をもとに,事例検討会に参加した施設において看取りの時期と判断された高齢者とその家族に対するケアのありようについて,その過程を記録に残し,事例分析をしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究期間を1年延長することにしたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
事例検討会(グループ・フォーカスインタビュー)開催にかかる費用(謝金やテープおこし費等)および報告書の作成に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)