2014 Fiscal Year Research-status Report
手術を受ける認知症高齢者の苦痛緩和に向けた睡眠・覚醒リズムに基づくケアスキル開発
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25463581
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
萩野 悦子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (10292070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者 / 腎・泌尿器疾患 / 手術 / 睡眠・覚醒リズム / せん妄 / 苦痛 / 看護学 / ケアスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,平成25~28年度の4年間で,腎・泌尿器疾患の予定手術を受ける高齢者の手術前後の睡眠・覚醒リズムを整え生活機能の低下を予防するケアスキルを開発する.中でも,高齢者に多い経尿道的膀胱切除術,経尿道的前立腺切除術,前立腺生検を受ける高齢者の入院日から手術当日,手術当夜,翌日以降の各時期の苦痛の内容や表現方法,について明らかにして苦痛を緩和することで睡眠・覚醒リズムの障害を早期に調整し,生活機能の低下を最小限にすることをめざす. 平成26年度は昨年度に引き続き,前立腺生検および経尿道的手術を受ける高齢者の,手術に伴う苦痛の表現内容とそれに対する看護師が行った医学的な処置や看護ケアについての調査を行った.対象者は,経尿道的膀胱切除術,経尿道的前立腺切除術,前立腺生検を受けた男性高齢者各5名である.入院期間中に日本語版ニーチャム混乱・錯乱スケールでせん妄と判断された高齢者が2名いた.入院日から手術当日,手術当夜,退院までの時期で苦痛の表現が多かったのは.いずれの手術および検査でも手術終了後から翌朝までの間であり,全入院期間中の苦痛の訴えのうちの5-7割を占めた.いずれの手術および検査でも膀胱刺激症状が最も多かった. 膀胱がんのため経尿道的膀胱切除術後に抗がん剤を膀胱内注入することに伴う刺激症状,旋前立腺切除術後の排尿時痛,前立腺生検後の便意など術式が検査による特徴的な苦痛が表出されたこと,便意や尿意があると失禁をしてしまうのではないかという懸念が多く表出されていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象者が同時期に重ならないようにしたため,分析対象者が15名となったが,対象者の言動についての記述が丁寧に書かれており有用な分析が可能となる. また,データ分析を病棟看護師とともに行うことで,ケアの振り返りが言語化されやすくなってきており,クリティカルパスや手術オリエンテーションパンフレットの修正におけるモチベーションが高まっている.
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Strategy for Future Research Activity |
入院日から手術当日,手術当夜,退院までの時期に,術式およびに検査に伴う苦痛の特徴があるか詳細な分析と睡眠データをあわせて考察する.これらの分析を踏まえて,苦痛のサインや非言語的な表現から苦痛を予測ができるような観察表の作成,手術前後に患者に起こりうる苦痛をオリエンテーションできるようなパンフレットの作成に向けて検討する.
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Causes of Carryover |
当該年度のデータ収集を2月まで行い,3月から本格的に作業従事者とともにデータ分析に着手した.そのため,これに伴い発生した謝金の支払いは翌年度に持ち越されることになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き,データ整理ならびに分析に取り組むために,作業従事者に対する謝金の支払い,成果発表ならびに最新情報の入手のための旅費等が見込まれるため,次年度に持ち越した助成金から支出していく.
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