2015 Fiscal Year Research-status Report
元気から軽度要介護在宅高齢者の自立促進に向けたケアプログラムの導入・評価と実用化
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25463585
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
薬袋 淳子 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (10445124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成 順月 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (00555055)
島内 節 人間環境大学, 看護学部, 教授 (70124401)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者 / 自立支援 / 軽度要介護 / デジタル化 / i-Pad / 健康行動 / ケアプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者が重度要介護者にならずにできる限り住み慣れた地域で自立した生活ができるように支援することを目指す。要支援と要介護1の在宅高齢者を対象に、生活機能に影響を与える要因をエビデンスにした生活行動を促すケアプログラムを開発した。これを利用しやすくするためにデジタル化したソフト「やりがいさん」を構築し、試用した結果について、平成27年度研究実績概要として報告する。 岐阜医療科学大学倫理審査委員会の承認を得て、「やりがいさん」を用いた介入を実施。iPad操作実施時間は10分程度。支援者が聞き取りながらのチェックは10分から30分と幅があった。今年度はプレテストとして、デイサービス利用者と通所リハビリ利用者の32人(男性18人平均80歳、女性14人平均82歳)、要支援から要介護1を対象とした。推奨する生活行動の中から、自身が「できる」ことを確認し◎をする。結果表は印刷して、常に目につく場所に張り、可能な限り毎日実行する。本研究では、3から4ヵ月後に変化を確認した。分析は、項目ごとに得点の平均を出し、対応のあるT検定を行った。その結果、「生活機能」p=0.027、「運動機能」p=0.01、「栄養状態」p<0.0001、「口腔機能」p<0.0001、「うつ」p<0.0001、が有意に改善傾向にあった。対象者の感想では、「やる気をもって生活できるようになった」「寝たきりにならないために、自分が何をすればいいのかがわかった」という、前向きな声がきかれた。 「やりがいさん」を用いて、高齢者が自身の自立を自分で守る意識が高まり、意欲的に健康行動がとれると、軽度要介護は要支援に、要支援は元気高齢者に戻ることが期待できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
介入研究の協力を依頼した市において、マンパワーの確保が困難となり、データの収集に遅れが生じた。市のケアマネジャー、および相談員が「やりがいさん」を利用しながら、軽度要介護者の自宅を訪問し、データを蓄積してくださっているため、研究期間の延長を依頼した。同時に、デイサービスなどに協力をいただき、「やりがいさん」の利用価値が立証できるよう、データの蓄積と分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年となる今年度の研究方策 ①既に依頼している市におけるデータの収集とまとめを行う。 ②対象を増やし、年内にデイサービスや老健に協力をいただいて「やりがいさん」を介入し、データ数を増やす。 ③「やりがいさん」の効果検証を行い、報告書およびリーフレットにまとめ、市町村、施設に配布する。 ④本研究の成果を論文にまとめ公表する。 ⑤研究終了後の「やりがいさん」の利用方法について、システム構築業者と検討する。
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Causes of Carryover |
「やりがいさん」を使った介入を依頼した2箇所の市において、マンパワー不足で、予定通りのデータ収集ができなかった。最終的な介入の効果の検証ができていないため、本研究の成果については、途中の評価としての学会発表に留まった。1年間延長することで、予定したデータ収集、およびソフトの内容修正が行え、成果の発表を行うことができる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プレテストで行った介入の結果を元に、システムの内容を一部変更し、さらに使い易くするよう内容を変更構築する費用が必要となる。また、遅れている2市に出向き、介入状況を確認する。協力いただける施設において、介入を行いデータ数を増やす。その後、結果をまとめ分析し、公的に発表していく。これらにおける旅費、会議費、論文投稿料等の費用が必要となる。
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