2015 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の人の訪問看護へのアドヒアランス影響要因に関する研究
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25463603
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
藤代 知美 四国大学, 看護学部, 講師 (60282464)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アドヒアランス / 交渉 / 精神科訪問看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、訪問看護において利用者が主体的に取り組むことができるような看護援助を考えるために、統合失調症をもつ人の訪問看護アドヒアランスに影響する要因を明らかにすることである。現在はその前段階として、看護師が地域で生活する統合失調症をもつ人とどのように交渉して合意を形成しているのか質的記述的に研究を行っている。 研究参加者である15名の看護師から、合計29ケースとの交渉場面について、半構造面接によりデータを収集した。語られた交渉が実施された場は、病棟11ケース、訪問看護8ケース、デイケア7ケース、包括型地域生活支援1ケース、外来1ケース、生活保護相談1ケースであった。インタビューは1ケースにつき1回実施し、1ケースあたりのインタビュー時間は平均42.9分(17分~75分)であった。 分析の結果、5つの局面【合意形成への導き】【巧みな押し引き】【方向を整える】【可能性と本音の追究】【徹底的に添う】と、方略を示す14カテゴリー〔自己決定を促す〕〔共に決める〕〔変化を捉えて迫る〕〔巧みに乗せる〕〔いったん添う〕〔対峙する〕〔体験からの動機づけ〕〔先回りする〕〔自分自身を転換する〕〔全体をつなげる〕〔可能性を見立てる〕〔本音を汲み取る〕〔寄り添う〕〔枠を破っても添う〕が抽出された。さらに、その順序性を分析した結果、「看護師は【徹底的に添う】ことを常に行い、【可能性と本音の追及】と平行して、【方向を整える】と【巧みな押し引き】を繰り返し行い、【合意形成への導き】に向かっていた。合意形成は一度きりではなく、再び【方向を整える】と【巧みな押し引き】を繰り返して、異なる【合意形成への導き】を積み重ねていた。」と説明することができた。 現在は、本研究を論文として公表するために考察を執筆途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一段階として行っている現在の研究は、質的研究であり、分析に時間を要することを予測して計画を立てていた。順調に実施できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず現在進行している研究を10月までに論文としてまとめる。次に、統合失調症をもつ訪問看護利用者の訪問看護に対するアドヒアランスに影響する要因を明らかにするため、現在実施中の研究を基にアンケート用紙を作成し、倫理審査を受けて配布する。
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Causes of Carryover |
昨年度当初は、初年度計画を変更し、20名の研究参加者からデータを得る計画を立て前倒し支払を申請した。しかし、当初計画通り15名へのインタビューにより飽和が確認できたため、前倒しした費用を使わなかった。また、skypeを使用して研究協力者と会議を行ったため、旅費を削減することができた。ただし、現在進行中の考察を書くために多くの書籍が必要であったため、前倒し請求額の半額を使用し、残り半分を次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在執筆中の論文を完成させるにあたり、face to faceで会議を行うための旅費として使用する。次に、研究協力者アンケート用紙作成、配布、回収のために使用する。
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