2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の人の訪問看護へのアドヒアランス影響要因に関する研究
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25463603
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
藤代 知美 四国大学, 看護学部, 講師 (60282464)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合意形成 / 統合失調症 / 交渉 / アドヒアランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、訪問看護において利用者が主体的に取り組むことができるような看護援助を考えるために、統合失調症をもつ人の訪問看護アドヒアランスに影響する要因を明らかにすることである。 第一段階目として実施した研究では、看護師が地域で生活する統合失調症をもつ人へどのように交渉して合意形成しているのかを明らかにするために、グラウンデッドセオリーを用いて研究を行った。15名の研究参加者から、合計29ケースとの交渉場面について、半構造面接によりデータを収集した。 前回報告後、さらにカテゴリーの洗練化を行い、分析を進めた。結果、【自己決定による合意への導き】【巧みな押し引き】【方向づけ】【内に潜む可能性と本音の追究】【脆さと固さへの徹底的な寄り添い】という5方略と、それに含まれる13行動群が抽出された。【内に潜む可能性と本音の追究】【脆さと固さへの徹底的な寄り添い】方略は、交渉初期の≪熟考された基盤づくり≫段階で用いられる方略であり、【自己決定による合意への導き】【巧みな押し引き】【方向づけ】方略は、交渉後半の≪熟練した駆け引き≫段階で用いられる方略であった。 考察を加えた結果、【内に潜む可能性と本音の追究】【脆さと固さへの徹底的な寄り添い】方略を含む≪熟考された基盤づくり≫段階は、他の交渉では見られない統合失調症をもつ人を対象とした交渉の特徴的な段階であることが分かった。また、これらの方略は、統合失調症をもつ人の脆弱な自我と認知機能を考慮した方略であることが考察された。 次に、統合失調症をもつ人のアドヒアランスを高め、合意形成を交わすための交渉に影響する要因を明らかにするため、質的記述的研究に取り掛かっている。半構造面接によりデータを収集し、交渉に影響を及ぼしている内容を抽出し、カテゴリー化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一段階目の研究結果の精度を挙げるために、複数名の研究協力者と意見交換を繰り返した。このことにより、一段階目の研究を修了するまでに、予定より半年の時間を必要とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心的テーマについては、1段階目の研究と同じデータを用いることとし、すでに研究計画書も仕上がっいる。今後は、直ちに分析に取り掛かることができる。 現在取り掛かっている分析を9月までに終え、3月までに執筆する。
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Causes of Carryover |
前段階の研究の考察を執筆する際に、研究協力者とのメールでやり取りをすることができたため、わずかに未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析時の会議を行うための旅費として使用する。
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