2015 Fiscal Year Research-status Report
被災地難病患者のための統合医療生活支援システムの構築に関する研究
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25463610
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 香子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80295386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗本 鮎美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00400276)
末永 カツ子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70444015)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難病患者 / 被災地 / 生活支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成25年度を研究初年度とし、東日本大震災の被災地における難病患者の地域生活支援について統合医療の観点から検討し、在宅難病患者のQOLを高めるための地域ケアシステムのあり方について探ることを目的とした。平成25年度は、在宅難病患者支援および関連施策の現状と課題等について情報収集、文献調査・検討を実施し、平成26年度は、在宅難病患者の地域生活支援システムの検討のため、文献調査・検討に加えて、海外先進事例の調査・検討を実施した。難病患者等在宅の障害者の支援、統合医療による地域生活支援の先進事例としてフィンランド国を訪問し、私設の複合サービス施設、統合医療を用いたケアハウスを視察した他、自治体の健康福祉部門のサービス担当者やフィンランド国立健康福祉研究所の研究者らとミーティングを行い、公的機関の立場から在宅難病患者等障害者の支援の現状と課題について情報収集した。また、保健医療福祉専門職および行政の支援者が参加する研究会を実施し、支援のための協働の基盤形成に着手し、在宅難病患者支援の地域ケアシステムのあるべき姿について検討を重ねた。平成27年度は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるコミュニケーションの問題と、在宅難病患者の就労困難性についてテーマを絞り、検討を重ねた。コミュニケーションの検討からは、在宅生活を営む難病患者が社会の一員としての存在意義を見出せるような支援のあり方を重視すること、就労困難性の検討からは、合理的配慮に基づく就労支援の重要性とケアマネジメントの視点に立った体系的な支援、企業との協働による就労支援システムの構築が課題であることが見出された。また、自治体が主催する難病患者の地域生活支援システム検討のための協議会に分担研究者が参画し、地域生活支援における課題の整理、支援者間のネットワーク形成等、協働の基盤形成に資する活動を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、東日本大震災の被災地における在宅難病患者の地域生活支援について、統合医療の観点から検討し、在宅難病患者のQOLを高めるための地域ケアシステムのあり方について探ることを目的としている。平成27年度は、平成26年度に引き続き、在宅難病患者の地域生活支援システムの検討のために、在宅難病患者の支援に関する情報収集、文献調査・検討を継続した。とくに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるコミュニケーションの問題と、在宅難病患者の就労困難性についてテーマを絞り、検討を重ねた。コミュニケーションの検討からは、在宅生活を営む難病患者が社会の一員としての存在意義を見出せるような支援のあり方を重視すること、就労困難性の検討からは、合理的配慮に基づく就労支援の重要性とケアマネジメントの視点に立った体系的な支援、企業との協働による就労支援システムの構築が課題であることが見出された。また、自治体が主催する難病患者の地域生活支援システム検討のための協議会に分担研究者が参画し、地域生活支援における課題の整理、支援者間のネットワーク形成等協働の基盤形成に資する活動を実施し、初年度の遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は本研究の最終年度にあたる。昨年度までの活動を継続しつつ、在宅難病患者の地域生活支援について統合医療の観点から見直しを加え、在宅難病患者の地域生活支援の再検討を行い、地域生活支援システム構築の課題について整理する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、在宅難病患者の地域生活支援について検討するため、国内外の講師を招聘し、保健医療福祉および行政関係者の参画による研究会を実施する予定であったが、被災地である自治体が主体となる協議会への参画により課題の検討を実施したため、講師招聘にかかる謝金、旅費の支出がなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は本研究の最終年度であることから、被災地である自治体の在宅難病患者支援に携わる保健医療福祉および行政関係者による協議会にアドバイザーとして継続参加し、支援者の協働の基盤形成や地域生活支援システム構築に資するとともに、研究期間中に取り組んだ内容についてまとめる予定である。そのため、資料作成・保管のための物品費、資料整理のための人件費、研究成果等発表のための旅費として使用する。
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