2013 Fiscal Year Research-status Report
実証研究に基づく訪問看護事業における新たな安全対策基準の検討
Project/Area Number |
25463613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柏木 聖代 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (80328088)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 訪問看護 / 訪問看護ステーション / 安全 / 医療事故 / 事業継続 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)訪問看護ステーションにおける提供体制と事業継続年数との関連、(2)事業開始前から開始後3ヶ月間までの安全管理体制の具体的な整備状況及び開始後3ヶ月間の事業稼働率、(2)STにおける技術的・物理的・人的安全管理体制の整備状況とインシデント・アクシデント発生との関連を明らかにすることである。平成25年度は(1)と(3)の一部を実施した。(1)の研究では、2011年1月時点で介護サービス情報公表システムに公表されていたデータを使用した。5013事業所を分析対象とし、事業継続年数を従属変数とし重回帰分析を行った結果、民間法人、同一法人内に訪問入浴・訪問リハを併設、管理者が兼務、常勤看護師・非常勤の離職者数が多い、常勤准看護師の離職者数が多いほど有意に事業継続年数が短かった。一方、同一法人内に短期入所・居宅介護支援事業所を併設、土曜日に営業、定休日がある、ホームページがある、健康診断を実施、常勤換算看護職員数が多い、常勤看護師数が多い、非常勤看護師の割合が多い、急な病状変化時に訪問看護の対応あり、要介護5の割合が多いほど事業継続年数が有意に長かった。(3)ではSTの管理者を対象に2013年に実施した全国調査データ(1000カ所層化無作為抽出、476事業所分)を使用し、インシデント・アクシデント、クレームの定期集計の実施状況、これらの再発予防策の定期的検討をそれぞれ従属変数とし、事業所・管理者の特性等との関連をロジスティック回帰分析により調べた。その結果、報告書の種類によらず、定期集計未実施群は、常勤換算看護職員数と介護保険の利用者数が有意に少なく、医療安全向上の取り組みや業務手順・システムに不備を感じていた管理者が有意に多かった。再発予防策の定期的検討あり群では、検討あり群は有意に常勤換算看護師数が多く、管理者になる前に研修受講の割合が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は、(1)訪問看護ステーション約6,000か所のデータを用い、訪問看護ステーションにおける提供体制と事業継続年数との関連を明らかにする。(2)事業開始から3年未満の訪問看護ステーション3ヶ所を対象に事業所開設前から6ヶ月間に整備した安全管理体制および事業稼働率をヒアリング調査することであった。(1)は研究実績の概要に示したとおり、結果を出すことができ目的を達成することができたと考える。さらに、今年度、訪問看護ステーションの管理者を対象に2013年に実施した全国調査データを使用した分析が可能となったことから、平成27年度に実施予定であった目的(訪問看護ステーションの安全管理体制とインシデント発生状況との関連を分析)の一部として、インシデント・アクシデント、クレームの定期的集計、これらの再発予防策の定期的検討実施に関連する要因を明らかにする研究を実施し、研究実績の概要のとおり結果を出し、国内の学会で発表した。再発予防策の定期的検討実施に関連する要因については論文にまとめ、海外の雑誌に投稿中である。 (2)については、営利法人・公益法人の計2ヶ所を対象とした事業所開設前から6ヶ月間に整備した安全管理体制についての事前調査に留まったが、この結果を踏まえ、平成26年度にインタビュー調査を実施予定であり、研究全体の進展に大きな影響はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、第一に平成25年度に得た成果で海外雑誌に投稿中の論文の年度内掲載、未投稿の成果の年度内投稿を目指す。第二に平成25年度の事前調査の結果を元に、事業開始前から開始後最初の3ヶ月間までの安全管理体制の整備状況及び稼働率、インシデント・アクシデント発生の実態についてインタビュー調査を実施、この結果をもとに全国レベルでのアンケート調査を実施予定である。第三に2013年に実施した全国調査データを使用し、訪問看護ステーションの規模と質・安全管理体制との関連について分析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用額が生じた理由は以下の2つである。1つ目は、研究成果の発表に関することである。海外のオンラインジャーナル掲載料を計上していたが、年度内にアクセプトされなかったため残額が生じた。2つ目は前述のとおり、インタビュー調査を平成26年度に実施することになったため、計上していたデータ入力の費用およびデータ整理のための人件費が残額となった。 1つ目については、現時点で2件の論文が海外の雑誌に投稿中であり、掲載が決まり次第、使用予定である。2つ目については、平成25年度の事前調査の結果を元にインタビュー調査を計画しており、使用予定である。
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Research Products
(2 results)