2013 Fiscal Year Research-status Report
若年性認知症者および高齢認知症者の本来感を高めるコミュニケーションスキルの開発
Project/Area Number |
25463648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
千葉 京子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (40248969)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 若年性認知症者 / 認知症高齢者 / コミュニケーション / 本来感 / 会話分析 |
Research Abstract |
超高齢社会となった日本は、認知症高齢者が増加している。若年性認知症は約3.8万人と算出されているが、専門家によれば10万人前後とする見方もあり、認知症の治療とケアの確立は喫緊の問題であることは周知となった。そこで、認知症ケアを体系化するために少しでも貢献できればと研究に取り組むこととした。 本研究の目的は、認知症ケアの向上を図るため、認知症者の本来感を高めるコミュニケーション・スキルを開発することである。認知症者が住み慣れた地域で生活できるためには、関わる人々のコミュニケーション・スキルが重要と考えるからである。本来感とは、自分らしくある感覚であり、対人関係の親密さや生活・活動の場の充実、肯定的な心身状態に影響を受けている可能性が示唆されている。認知症者自身の本来感を高めるコミュニケーション・スキルが明らかになれば、望む場で生活を継続することが期待できる。研究参加者となる認知症者とは、若年性認知症者と高齢認知症者とした。 初年度となる平成25年度の研究目的は、若年性認知症者が活動する場において、他者と行っている相互行為の構造と秩序を明らかにすることである。活動する場とは、若年性認知症者が社会参加を目指し、就労型活動を実施している場を選択した。 データ収集として、活動場面のビデオ撮影を2回実施した。データ分析として、トランスクリプトを作成し、会話分析に取り組んでいる。 データ分析の信頼性を高めるため、専門家による会話分析の研修会に参加し、分析力を高めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ分析を終了する計画であったが、現在分析中である。計画がやや遅れている理由は、研究活動に集中する時間を十分に確保できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成26年度は、終了できなかった若年性認知症者の活動場面のデータ分析を終え、関連学会での成果発表を行う。その他、計画に応じて、認知症高齢者の活動場面と医療場面のデータ収集とデータ分析に取り組む。 年間計画を綿密に立て、連携研究者と協力していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集は映像撮影による方法であり、撮影する機材として無線式多目的観察システム一式を購入予定であった。1セットが1,257千円であったが、1台だけでは十分な観察ができないことが判明し、機材を検討することとした。ビデオ撮影方法の経験者にアドバイスを得て、ビデオ機材4台で多面的に観察する方法に変更した。ビデオ機材4台と関連品を含めての金額が約730千円であった。また、認知症ケア研修としてスウェーデンを訪問する計画であったが、学内業務との関連で実施できなかった。 以上が、次年度使用額が生じた主な理由である。 認知症ケア研修としてスウェーデンを訪れるのは8月に計画している。また、平成26年度の研究計画を迅速に進めるため、ビデオ映像からの音声起稿を専門業者に依頼することとする。そのために発生する費用に使用する。
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