2014 Fiscal Year Research-status Report
臨床倫理学教育における解釈学的アプローチ法の構築と評価
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25500001
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
服部 健司 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90312884)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床倫理学 / 解釈学 / 教育 / ケーススタディ / 方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで本邦の臨床倫理学の実践および教育は、米国発祥の四原則論および四分割表を中心に行われてきた。しかしヨーロッパに目を転じると、これら二法以外にさまざまな方法論が案出され試行が重ねられている。本研究の目的は、臨床倫理学においてこれまで十分に顧慮されてこなかった解釈学的アプローチの特性を明確化し、容易に実施可能なその教育モデルを組み立て、主観的・客観的教育効果評価尺度を開発して、既存の他のさまざまなアプローチとの実際的な相違を比較検討することである。 今年度は、解釈学的方法と討議倫理学を原理的主柱として Moral Case Deliberation (以下、MCDとする。原語では Moreel Beraad)の方法を確立し、その普及に関してオランダ政府から後押しを受けているアムステルダム自由大学医療センターの研究室を訪ね、MCD開発の経緯、他の方法論との異同、同国内での臨床倫理学の現状についてインタビューを行い、MCD乃哲学的基礎と具体的方法の両面をめぐって討議を行った。さらに実際の臨床現場でのMCD、そして医学科でのMCDの授業を参観した。 同研究室を訪ねるにあたって、彼らの単著および編著(オランダ語)を通読し、これをもとに国内の2つの学会で研究発表を行った。ひとつは、とかく自明視され不問に付されている対話こそがMCDの背骨であることから、臨床倫理学における対話の意味を問い直すものであった。他では、本邦で出版されている医療倫理学・看護倫理学・生命倫理学の成書のなかで臨床倫理学の方法論がどのように紹介されているのかを瞥見し、それらがヨーロッパの成書の構成といかに相違しているかを示し、四原則論にかわるものと考えられているMCDの概略、それと臨床倫理コンサルテーション・臨床倫理委員会との対照性、いくつかの方法論における解釈学の捉え方の相違を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MCDの世界的な中心であるオランダでの視察や討議を通じて、課題のうちの理論的研究は進展しており、その成果は2015年度の国内外の関連学会で発表することになっている。一方、解釈学的方法と他の方法とを教育場面で比較する実証研究の進度がおよそ四半期ほど遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究協力者と研究打ち合わせの機会を増やし、実証研究の進度を取り戻せるように努めたい。
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Causes of Carryover |
臨床倫理学モデル講習と評価方法の確立が予定より遅れたため、年度内にパイロット調査を完了することができなかった。このため、パイロット調査に伴う謝金や会場借り上げなどの支払いが次年度に持ち越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度上半期にパイロット調査を遂行し、この際に繰り越した助成金を使用する。
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