2015 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害の治療拒否に対するエビデンスに基づく倫理的対応指針の作成
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25500002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧本 禎之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00396699)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 臨床倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は①理論研究と②調査研究の2つの方法を用いて行った。 ①については、引き続き収集した摂食障害患者の強制治療に関する倫理的・法的文献の内容について文献研究を行い、論点抽出に努めた。論点として「最善の益」と「判断能力」が主要な論点としてあげられ、最善の益と生命の保護と考え、肥満恐怖を理由に判断能力が無いと想定する論調が多くみられていた。 ②調査研究に関しては、全国の都道府県における精神保健福祉センターと精神医療審査会委員に対して、質問紙による「神経性やせ症患者の精神保健及び福祉に関する法律(以下精神保健福祉法)に基づく強制入院治療における実態調査」を実施した。調査結果によると、精神医療審査委員会委員の多くは、神経性やせ症における強制入院治療に肯定的な考えをとっており、その根拠に関しては、病的な認識により判断能力を喪失していること、治療により生命保護が可能であることをあげていた。これは、前年までに実施した摂食外診療に携わる医療者の強制入院治療に対する考え方で一致していた。そのため、神経性やせ症が治療拒否を行った際に、精神保健福祉法を適用して医療保護入院を医療者が選択した場合の判断は、多くの場面において行政側の判断と一致していることが伺われた。 以上から、判断能力と生命保護の最善の利益を軸に、治療拒否時の対応ガイドライン案作成の基礎資料になり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関連施設に協力が得られれにくく、インタビュー調査の実施が遅れている。関連文献の数が多く、論点抽出が困難でありガイドライン案の作成も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査が終了する前に、文献調査と質問紙調査をもとにガイドライン案を作成し提示していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じており、インタビュー調査と海外調査の費用が未使用のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査と海外調査の実施を行い使用する予定である。
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Research Products
(1 results)