2014 Fiscal Year Research-status Report
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25500006
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
神野 礼斉 広島大学, 法務研究科, 教授 (80330950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家族の意思 / 家族中心モデル / 尊厳死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本における医療行為と同意の現状と課題について検討した。日本におけるインフォームド・コンセントは、1965年に唄孝一教授の論文が公表され、その後、判例・学説においても議論されてきた。近年、最高裁判所もインフォームド・コンセントについてかなり明確な態度を示すようになっている。たとえば、エホバの証人による輸血の拒否が問題となった、最判2000(平成12)年2月29日民集54巻2号582頁(東大医科研病院事件)などがある。もっとも、患者本人に同意能力がない場合、だれに決定権限があるかは必ずも明らかでない。親権者や未成年後見人、成年後見人、精神保健福祉上にいわゆる「家族等」、臓器移植法にいわゆる「遺族」などが法律上どのような意義を有するかについて一定の検討を行った。また、同意能力のない患者のための代行決定がもっと先鋭化するのは治療中止(尊厳死)の場面であろう。わが国においては、東海大学病院事件、川崎協同病院事件など一定の判例の集積がある。また、近年、行政や学会等のガイドラインが多く公表されている(厚生労働省、日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本循環器学会、日本老年学会、日本小児科学会、日本学術会議、全日本病院協会、日本医師会など)。これらの諸資料も参考に今後の意思決定プロセスのあり方を検討した。もっとも、厚生労働省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によれば、一般国民、医療福祉従事者ともに、意思決定プロセスの法制化に対しては消極的な意見が少なくない。今後は、このような日本社会の特性にも目配りしつつ、意思決定プロセスの法制化のあり方についてさらに検討を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外国法の研究がいまだ不十分であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の日本法の状況を踏まえ、諸外国の法状況も参考にしながら、本研究のまとめを行う。
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Research Products
(3 results)