2013 Fiscal Year Research-status Report
医学研究に参加する子どものインフォームド・アセントに関する研究
Project/Area Number |
25500012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Teikyo Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
石山 ゐづ美 帝京学園短期大学, その他部局等, 准教授 (70541704)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山縣 然太朗 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | インフォームド・アセント / インフォームド・コンセント / 医学研究 / 子どもの権利 / 倫理指針 |
Research Abstract |
平成25年度の研究内容は主に、(1)医学研究に参加する子どものインフォームド・コンセント(以下I.C.と記述)及びインフォームド・アセント(以下I.A.と記述)に関する既存の定義・意義・法規・倫理指針等の文献調査、(2)調査結果をまとめた論文の研究紀要への掲載、(3)専門的知識を所有する研究者からの情報収受、(4)医学研究におけるI.C.及びI.A.に関する一般市民を対象とする意識調査、の4項目であった。 (1)文献により世界の歴史的変遷を概観すると、子ども参加の医学研究は、子どもを保護するための規制対象から子どもの健康とより良い発達のために必要な存在に変化してきている。研究者が保護者からI.C.を、子どもからI.C.またはI.A.を得ることは、研究の正当性を保障する意義と子どもの自律権を尊重する意義とがあり、子どもの年齢や発達段階に応じた取得方法が、個々の研究の性質に応じて検討されていることが明らかになった。日本国内では成人年齢が20歳と諸外国より高く、未成年者のI.C.及びI.A.に関する議論は多くみられない。医学研究に参加する子どもの権利を擁護する倫理的な研究が求められているといえる。 (2)子どもが参加する医学研究に関する規定を、国際的規定、日本国に適用される倫理指針、他国における法規の3つに分類し、可能な範囲で収集・整理した論文を研究紀要に掲載した。 (3)臨床倫理学講座教授、小児科医師、出生コホート研究者らから、子どものI.C.及びI.A.に関する倫理的課題や現状などの専門的知識の提供を受けた。 (4)研究分担者が調査主体として実施している、一般市民対象の医療に関する全国調査の質問に子どものI.C.及びI.A.に関する質問を加え、日本の一般市民の意識を明らかにした。結果を英国社会学会医療社会学部会で発表する計画であり、既に受理されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的はおおむね達成している。 計画以上に進展している点は、日本の一般市民の意識調査を行い、結果を英国社会学会で発表する計画があることである。 遅れている点は、執筆した論文の学術雑誌への投稿が実現しなかったことである。また、現在実施されているI.C.及びI.A.の具体的方法を視察などにより知ることが出来なかった点である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、アセント能力測定尺度を作成することを目標とする。そのために以下のことに取り組む方針である。 (1)全国調査により明らかになった一般市民の意識に関して、統計的解析を加えながら解釈し、日本の文化や社会状況に適合する尺度作成の参考とする。 (2)海外におけるアセント取得に関する運用規定など、研究に応じた具体的な方法をより多く情報収集する。 平成27年度以降は、尺度の信頼性と妥当性の検討のため、各種フォーカス・グループ・インタビューを実施することに加えて、子どもを対象とする面接調査を2回実施する。これらの過程を経て修正を行い、信頼性と妥当性のあるアセント能力測定尺度を開発することを目標とする。 研究発表と論文執筆を研究の進捗に応じて適宜実行し、他研究者との議論を含めて研究内容の改善を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
専門的知識の提供を受けた研究者の所属機関が、研究代表者の所属機関と同県内であったため、旅費の使用が予定より少なかった。 平成26年度は、現在執筆を進めている論文の英文雑誌への投稿を計画しており、英文校正料と掲載料として助成金を使用する予定である。加えて英国社会学会での研究発表が受理され、発表を予定しているため、その参加費と旅費に使用する計画である。
|