2015 Fiscal Year Annual Research Report
観光事業における需要予測モデルの開発とリスクマネジメントへの応用に関する研究
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25501005
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
大井 達雄 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (10367881)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 観光学 / 需要予測 / リスクマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実績については,論文3本(査読付き2本),学会報告4本(国際学会2本,国内学会2本),報告書原稿2本(英文1本)という成果をあげることができた。 具体的な内容として,まず第一に観光統計の現状と課題についてまとめることができた。観光統計は経済統計の一部門として認識され,大きくインバウンド観光,アウトバウンド観光,国内観光,観光産業の4つに分類されている。半世紀以上にわたって国際観光統計基準の普及が進められてきたが,国によって整備状況は大きく異なっている。社会統計学における真実性の議論を紹介した上で,観光現象特有の性質が観光統計の真実性の確保を困難にしていることを指摘した。 第二に日本におけるアートイベントの動向を紹介し,その上で六本木アートナイトを対象に経済波及効果の推計を試みた。六本木アートナイトとは日常生活の中でアートを楽しむという新しいライフスタイルの提案と,大都市東京における街づくりの先駆的なモデル創出を目的としたものである。一夜限りのアートの饗宴としてさまざまな商業施設や文化施設が集積する六本木を舞台に,現代アート,デザイン,音楽,映像,パフォーマンス等の多様な作品が街なかに点在している。日本を代表するアートイベントの経済波及効果の推計結果を踏まえ,六本木アートナイトについてその可能性を言及したものである。 第三に空間的自己相関を用いた地域観光クラスター分析があげられる。観光市場においてGISやGPSによる実証分析が増加傾向にあるものの,それらの多くが時間的・地理的分布に基づいた記述統計手法による分析に留まっており,情報を十分に活かしきれていないという課題がある。そのような状況に対して,探索的空間解析(ESDA)の手法が注目され,その代表的な手法であるMoran I統計量を用いて地域観光クラスター分析を行い,地域特性を明らかにした。
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