2013 Fiscal Year Research-status Report
観光資源の持続的保全と利用を可能とする地域運営システムの応用研究
Project/Area Number |
25501012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
海津 ゆりえ 文教大学, 国際学部, 教授 (20453441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 俊哉 立教大学, 観光学部, 教授 (50277737)
真板 昭夫 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (80340537)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 観光資源 / 持続的保全 / 地域運営システム / エコツーリズム / 震災復興 / 京都 / 裏磐梯 / 宮古 |
Research Abstract |
初年度として3地域の研究調査対象地において以下の調査研究を実施した。とりまとめとなる議論は最終年度に実施する予定である。 1.岩手県宮古市(担当:海津)においては、 震災復興支援を機に開始した資源調査に基づいて造成したウォーキングツアーの2年度目として実施し、ツアーにおけるホストとゲストの意識変化や体制づくりの過程を把握した。事前準備として山口公民館の人々とともに平成25年7月7日(日)午前中に、ツアーの経路とする参道の草刈りを行い、7月21日(日)にツアーを催行した。準備およびツアー当日は大学生6名がボランティアとして参加し、ガイドのサポート等を行った。参加者は9名、うち宮古市民は6名であった。経年調査により組織体制の強化と住民意識の変化、震災復興の位置づけの変化等が見られた。 2.福島県裏磐梯地区(担当:橋本)においては、調査対象地における自然資源の保全・継承・活用に関わりの深い組織・業者に対してヒアリング調査を実施し、その実態を把握した。調査期間は2013年9月8日~12日である。ヒアリング対象は環境省裏磐梯自然保護官事務所、裏磐梯サイトステーション、裏磐梯ビジターセンター、裏磐梯エコガイドの会、エコツアー業者A・B・Cとした。このほか類似事例研究として、信越トレイル(長野県飯山市)におけるツアーと運営組織に関する調査を行った。 3.京都府京都市(担当:真板)では、2001年より大澤池荒廃の原因を調査するとともに、その原因を取り除くための社会の仕組みづくりの構築を行ってきている。この活動や分析を通じて1200年にわたって保全継承されてきた仕組みを明らかにするとともに、京都における類似の自然系文化遺産を将来に向けて継承していく社会的な仕組みを明らかにしてモデルを提示する研究を進めている。2013年度は2度に亘る住民参加による維持管理作業を行いヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究について次の成果を得ることができた。 1.宮古市を対象とする文化資源(芸能)では、持続的利用と保全に関して、ツアーを通して外部者、内部者がそれぞれ資源の価値を知り、体験をすることによって関心や新たな保全意識が生まれることが明らかとなった。またツアーの実施というしかけが多様な主体の関係づくりを求め、世代間の交わりや地域内外の人的交流を生み、文化や歴史など、目に見えない価値を伝える機会となることが明らかとなった。さらに、関係者へのアンケートから、次年度への「改善」の希望や展望が出され、継続による効果が期待された。 2.福島県北塩原村裏磐梯地区では、ヒアリング調査およびアンケート調査から、①自然資源管理と情報提供の現状、②総延長80㎞に及ぶトレイルの利用実態、③ガイドの理念およびガイド事業の実態について、④先進地域(信越トレイル)における自然資源お保全および継承、活用のための体制づくりや人材育成の実態を把握した。 3.京都府京都市嵯峨野地区(自然系文化資源)では、年2回の住民参加による維持管理作業が順調に進んだことと、関係者からのヒアリングを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は前年度を引き継ぎ、各対象地における研究を次のように進める予定である。また年度末に研究会を設け、成果の共有と最終年度に向けたとりまとめ会議を行う。 1.岩手県宮古市では、黒森神社例大祭に合わせたツアーを実施する。次年度は住民参加に焦点を当てて催行し、住民の意識変化を把握し、地域における地元の文化資源の価値を把握する予定である。 2.福島県北塩原村裏磐梯地区では、今年度の研究成果をふまえ、自然資源の保全・継承・活用に住民が重要な役割を果たすとの認識にたって、次年度は、住民とワークショップ形式の資源発掘と自然の恵みを活かしたモニターツアーを試み、参加者の心身への効果を測定する調査を実施することとしたい。 3.京都府京都市嵯峨野地区では、今年度は昨年同様に大澤池の維持管理に関係する作業を実施するとともに、大覚寺や嵯峨天皇に関わる権威性、嵯峨御流に関わる伝承性、一般参加を可能としている文化性など各セクター毎の関係者ヒアリングや資料の収集をおこない維持管理システムのモデル化の情報収集と解析に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交通費として使用します。 福島県裏磐梯地区への調査出張1回(2014年8月) 岩手県宮古市への調査出張1回(2014年10月)
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Research Products
(9 results)