2013 Fiscal Year Research-status Report
観光行動の一般的意思決定に関する理論モデルの構築と検証
Project/Area Number |
25501017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中村 哲 玉川大学, 観光学部, 准教授 (40348355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸子 同志社大学, 商学部, 准教授 (30454482)
高井 典子 文教大学, 国際学部, 准教授 (90540435)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 観光行動 / 理論研究 / 量的調査 / 質的調査 / 海外旅行 / 国内旅行 / 一般的意思決定 |
Research Abstract |
本研究は,観光者の一連の行動の起点となる「観光旅行を実施するか・しないか」という意思決定プロセス(=一般的意思決定)に関する理論モデルの構築を目指すものである.具体的には,応募者が,日本人の若者による海外旅行を対象として構築した「海外旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル」(平成22年度から平成24年度の科研費研究課題)を,幅広い年齢層,さらには国内旅行にも適用可能な汎用性のあるモデルに改良することである.平成25年度は,モデル改良のための準備作業を行った.具体的には以下の4点である. 第1に,既存の消費者行動ならびに観光行動の一連のプロセスに関する理論モデルの文献研究を行い,批判的に検討をした.批判のポイントとして,1)観光行動が実施されることを前提としたモデルであること,2)合理的で直線的な一方通行の流れを示したモデルであること,があげられる. 第2に,「海外旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル」について,再度の分析・検証を行い,実証に使用する尺度の見直し作業に取り組んだ. 第3に,国内の宿泊旅行の動向,ならびに国内旅行を対象とした「若者の旅行離れ」に関する先行調査の収集と整理を行った.調査にもよるが,おおむね,国内旅行・海外旅行とも年に一度も行かない“ゼロ回層”が4割程度,もっぱら国内旅行だけに参加する人が4割程度存在するなどの大まかな動向を把握した. 第4に,若年層以外のマーケットの動向を把握するべく,30歳代以上の子供を有する家庭,子供が独立した高齢者などさまざまなライフステージにある人々の旅行行動の特徴に関する資料収集を行った.既存の調査結果を見ていくと,若年層から中高年層に入っていくと,消極的・否定的な態度を示す人が多くなることや,年代による違いなどを把握することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に予備調査を実施予定であったが,調査票の開発が遅れ,年度内に実施できなかった.そのため,「やや遅れている」と評価するのが妥当と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の上半期においては,幅広い年代層,ならびに国内・海外の双方の旅行に適用可能な「旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル(仮)」を構築するための予備調査を実施する.調査票は,旅行の実態に関する項目,モデルの構成概念(「動機づけ」「阻害要因」「自己効力感」「すりあわせ努力」「実施頻度」「経験評価」)を測定する項目から構成される予定であり,前年度の成果を踏まえて作成する.その際に,国内旅行・海外旅行に共通する調査項目,どちらか一方のみに妥当な調査項目が登場することが予想され,調査票の方向性をまとめることが大きな課題になると予想される.調査票作成後には,インターネットによる量的調査を実施し,分析を行う. 平成26年度の下半期においては,上記の予備調査の結果を踏まえ,「旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル(仮)」の修正を行う.その上で,本調査の準備作業に着手し,調査票の確定作業をする.その上で,インターネットによる量的調査に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額を発生させてしまった理由は以下の2点である. 第1に,平成25年度内に第1回目の予備調査(インターネットによる量的調査)を実施する計画であったが,調査票の開発が遅れ,実行に至らなかったことがあげられる. 第2に,平成25年度の定期的な研究ミーティングの開催会場が関西(京都)に偏ったため,京都を拠点とする研究分担者の旅費の使用が順調に進まなかったことがある. 次年度使用額の使用計画は以下の通りである. 第1に,平成26年度に延期となった予備調査の実査費用として使用する. 第2に,平成26年度の上半期の研究ミーティングを関東(東京)において開催し,研究代表者・分担者間の旅費使用金額の偏りを是正する.このことにより,関西を拠点とする研究分担者の旅費使用を進めていく計画である.
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