2015 Fiscal Year Research-status Report
観光行動の一般的意思決定に関する理論モデルの構築と検証
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25501017
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中村 哲 玉川大学, 観光学部, 准教授 (40348355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸子 同志社大学, 商学部, 准教授 (30454482)
高井 典子 文教大学, 国際学部, 准教授 (90540435)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光行動 / 量的調査 / 海外旅行 / 一般的意思決定 / ライフサイクル / 阻害要因 / 関心 / 意向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,観光者の一連の行動の起点となる,「観光旅行を実施するか・しないか」という意思決定プロセス(=一般的意思決定)に関する理論モデルの構築を目指すものである.具体的には,研究代表者・分担者が,日本人の若者による海外旅行を対象として構築した「海外旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル(以下,若者モデル)」(平成22~24年度の科研費研究課題)の適用範囲を拡張した,汎用性のある新モデルに改良することである.平成27年度の研究実績は以下のとおりである. 第1に,18~69歳の日本人を対象として,国内旅行と海外旅行の実施状況の把握を目的とした予備調査を行った.その結果,過去1年に国内旅行・海外旅行の双方を実施していない「ゼロ階層」が41.8%を占めること,海外旅行を実施した人は8.4%に過ぎないことが判明した.とくに既婚者で子育て中のライフサイクルにある人については,海外旅行の実施率が低い一方で国内旅行の実施率は50%を超えている実態が明らかになった.日本人については,国内旅行と海外旅行とでは意思決定のプロセスが異なることが示唆された. 第2に,若者モデルに含まれていた構成概念を取り上げている最新の論文を収集し,文献研究を行った.その中で,旅行に対する「非関心」「低関心」を検討したものが複数見られた.さらに,若者モデルに含めなかった旅行の「実施意向」とそれへの影響要因を主題とした研究についても把握した. 第3に,平成26年度に実施した,30~60歳代の日本人の海外旅行に関する予備調査のデータの分析を行った.その結果,「ゼロ階層」「海外旅行非実施者」の特徴として,海外旅行に対する「自己効力感」「動機づけ」「関心」が低く,「阻害要因」の知覚が高いことを確認した.さらに,今年度実施の文献研究を踏まえて改良を行い,予備的な検証を繰り返しながら,新モデルの方向性を見極めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の補助事業期間(平成25~27年度)内にすべて完了することができず,1年間の延長をお願いすることになった.現状では,理論研究と予備調査が完了した段階であり,本調査の実施と考察を残している.以上の状況から「遅れている」と自己点検・評価をする.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに実施した予備調査の結果,日本人を対象とする場合は,国内旅行と海外旅行の意思決定については,別個に捉えるのが妥当であるとの見解に達した.そこで,研究対象を海外旅行に特化して,若者に限らず幅広い年代の日本人の海外旅行実施の「一般的意思決定」に関する理論モデルの構築を推進することにする.換言すれば,日本人の若者による海外旅行を対象として構築した「海外旅行の実施頻度に関する動態的循環モデル」を若者限定としないモデルにすることをゴールとして設定する. 最終年度となる平成28年度では,本調査を2回(7月上旬,10月中旬)に分けて実施する.そこで得たデータを用いて,モデルの検証と考察を行い,「日本人の海外旅行の一般的意思決定に関する理論モデル」として提示を目指す.具体的には,夏季休暇中の旅行シーズン前に実施する1回目の調査で得たデータをもとに,新モデルの検証を行う.さらに,第1回目と同じ回答者を対象に実施する第2回目の調査では,夏季休暇中に海外旅行を実施した人について,旅行前と旅行後でどのような意識の変化があったのかを把握することにより,モデルの考察を深めていく方針である.
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Causes of Carryover |
第1に,平成27年度より研究代表者・分担者が本務校の役職に就任し,当初の想定よりも本研究課題へのエフォートが低下したことがあげられる.第2に,研究計画の第2段階にある予備調査については平成27年度までに完了できたものの,そこで得られたデータを用いた新モデルの予備的な検証については,ある程度の方向性を見せている段階に留まっている.第3に,上記の状況により,本調査の実施に至っていない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用額は,本調査の実施費用,研究ミーティングの旅費,学会発表投稿料に充当する計画である.本調査については,20~60歳代の日本人を対象とした旅行の実態と意識に関する調査を2回にわけて実施する(第1回は7月上旬に2200サンプル,第2回は夏季休暇後の10月中旬に1000サンプル).研究ミーティングは,5月,8月,9月,12月,年度末に東京または京都にて開催する.学会発表は,第31回日本観光研究学会(12月上旬)において行う.
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Research Products
(3 results)