2014 Fiscal Year Research-status Report
タンザニアにおける女性の社会的自立に向けたコミュニティ・ツーリズムの有効性
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25501018
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中嶋 真美 玉川大学, 文学部, 教授 (80555409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニティ・ツーリズム / 観光 / 開発 / タンザニア / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地域社会を活用するCommunity Based Tourism(CBT)を取り上げ、CBTを通じた「女性」の社会的自立を軸としてCBTの持つ可能性と有効性を明らかにすることを目的としている。 【研究手法】 (1)文献調査による観光動向・開発等の各関連分野の既存研究の到達点確認 (2)26年度現地調査の結果解析及び経年比較 (3)現地聞き取り調査・半構造化インタビューの実施(2014年8月) 【調査実施地域】[継続事例]タンザニア共和国アルーシャ県ギレシ村、キリマンジャロ県マチャメンクウェショー村、マチャメンクウェセコ村[新規事例]モロゴロ州チョマ村【調査対象者】観光業従事者、地域住民、タンザニア政府観光局、各支援団体(TACTO、SNV等)、タンザニア国立公園局[TANAPA]、天然資源観光省等【調査内容】(1)女性地域住民の利益享受に関する現状の把握/CBT関連業務への参画の有無、(2)その他の機会創出の有無、(3)地域社会のCBTを通じた発展動向の把握 【研究成果の意義・重要性】 CBTは地域開発に様々な属性の人々が公平性を持って参加できる仕組みである。しかし実際には社会構造上の問題や社会文化的慣習の問題などから女性の多重労働負担やシャドウワークが多くなる傾向がある。結果的にエンパワーメントには限界があり、少額の経済効果、発展へのエントリーポイント、個人の職能養成等といった点を除けば、CBTが真の女性の発展を目指す意味においては十分に機能しないことを理解すべきである。今年度は北部以外の地域で行われる事例を確認し、地域性の影響という点でこれまでの主張の妥当性検証を行った。今後のCBTを通じた地域社会の発展と人材育成、女性の社会的自立に向けた具体的提言に向けては、これらの調査結果をもとに継続調査を実施する意義は大きいと考えられる。 【成果の公表】会報誌記事(2014年4月)[日本エコツーリズム協会]、口頭発表(2014年10月)および論文集掲載(2015年3月)[いずれも日本国際観光学会]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学事の都合により当初予定していた現地調査のための海外渡航期間を確保できず、現地での調査期間を短縮して実施せざるを得ない状況があった。その結果、年2回を予定していた現地調査が8月のみの1回となり、地域を拡大しての調査は行えたものの、予定していたいくつかの調査内容が次年度(27年度)に持越しとなった。ゆえに研究達成度としては当初の予定より若干の遅れが見られる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、研究計画にある予定から大きく外れることのなく研究を推進する予定である。27年度は最終年度となるため8月の1回のみの調査渡航を予定しており、後半は総括を行う予定である。昨年度の反省を生かし今年度はスケジュール調整に早期から取り組み、また現地調査協力者との連携による研究実施の円滑化を心掛けたい。
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Causes of Carryover |
本年度は当初の計画よりも現地調査(滞在)の回数を減少せざるを得ない状況にあった。その結果、滞在に係る経費支出が減少したことがその理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は本来の研究計画に則り、経費支出を遂行する予定である。また、繰り越された助成金については、26年度に実施できなかった現地調査の実施経費(移動費、滞在費、研究協力者謝金等)の一部として使用する予定である。
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