2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25502002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 惠逸 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50162194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | L-ホモシステイン / 亜ジチオン酸ナトリウム / マロンジアルデヒド / 第二級アミン / メチルイミダゾール / メチルマロン酸 / 化学発光 / 蛍光 |
Research Abstract |
トリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム錯体(Ru錯体)による含硫黄化合物の検出について検討したところL-シスチン及びL-ホモシステインの検出が可能であった.Ru錯体化学発光法は還元力の強い物質の検出には不向きであるため,水溶液中で蛍光性をもつ銅(I)錯体の利用を試みたところ亜ジチオン酸ナトリウムの検出に有効であった. L-システイン(Cys)を誘導体化試薬として用い,マロンジアルデヒドのRu錯体化学発光法による高感度検出法の開発を試みた.紫外吸収スペクトルの変化から誘導体化が可能であるとの知見が得られた.誘導体化生成物の単離を試み予備的検討を行ったところsub-μMの検出限界が得られた.低濃度での誘導体化反応,検出条件の最適化を検討中であるが,Cysによる誘導体化が困難な場合は,希硝酸による試料酸化過程をもつ化学発光検出法の利用を検討する. 紫外線照射とルミノール化学発光法の組み合わせによりN-ニトロソアミンの高感度測定が可能であることから,N-ニトロソアミンを経由する第二級アミン定量法の開発を試みたところジメチルアミン及びジエチルアミンの検出が可能であった. Ru錯体化学発光法による直接検出が可能なメチルイミダゾール及びメチルマロン酸について,最適検出条件の検討と実試料への適用を試みた.2-メチルイミダゾール及び4-メチルイミダゾールは,国際がん研究機関により発がん性リスクリストのグループ2Bに分類されている.4-メチルイミダゾールの検出限界は0.3μMで,高速液体クロマトグラフィーによるコーラ中の4-メチルイミダゾールの定量が可能であった.メチルマロン酸の検出限界は50μMで,メチルマロン酸血症患者の尿中メチルマロン酸の定量は可能であるが健常者の尿中メチルマロン酸濃度を定量できる感度には達していない.さらなる高感度化を目指して検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的検討にとどまっている項目もあるが人工試料や実試料の分析に到達した項目もあり,総合的に判断しておおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
L-シスチン(シスチン尿症の原因物質),L-ホモシステイン(ホモシスチン尿症の指標物質),亜ジチオン酸ナトリウム(食品添加物),マロンジアルデヒド(酸化ストレスの指標物質),メチルマロン酸(メチルマロン酸血症の指標物質)は医療の安全,食の安全に関わる重要な物質である.蛍光の利用も視野に入れて,高感度検出のための条件検討が終わった物質から順次実試料の分析へ展開していく. 直接検出による高感度分析が困難な物質については,誘導体化や流路酸化などにより検出可能な物質へ変換する.既存の誘導体化試薬の利用と,新規誘導体化試薬の合成により検出可能な物質の範囲を拡張する.チオフェン部位をもつ誘導体化試薬の合成を行う予定であるが,この合成が困難な場合は第三級アミン部位をもつ誘導体化試薬の合成を視野に入れて進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を計画に沿って進めた結果,年度中に執行する必要のない残金が生じたため. 薬品,ガラス器具,高速液体クロマトグラフ用カラムなどの消耗品費と学会等における成果発表のための旅費として使用する.
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