2014 Fiscal Year Research-status Report
環境水中の有毒化学物質の計測のための分子鋳型の開発と応用
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25502003
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中村 有加里 武庫川女子大学, 薬学部, 助教 (20581424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩中 淳 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (20164759)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子インプリントポリマー / 液体クロマトグラフィー / カラム充填剤 / ワルファリン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、医薬品による環境水汚染が問題となっている。そこで、抗凝固剤として頻用されているワルファリンに対する分子インプリントポリマー (MIP) を環境水中のワルファリンの選択的濃縮分析に適用するために、本年度は、ワルファリンに対する MIP を調製し、その保持能および分子認識能を評価した。ワルファリンをテンプレート分子とした MIP (MIP・WF) の調製には多段階膨潤重合法を用い、種粒子にポリスチレン粒子、機能性モノマーに 4-ビニルピリジン、架橋剤にエチレングリコールジメタクリレート、重合開始剤に2,2'-アゾビス (2,4-ジメチルバレロニトリル、希釈剤にトルエンを用いた。また、テンプレート分子を用いないで同一条件下で重合したノンインプリントポリマー (NIP) も調製した。得られた MIP および NIP をステンレス製カラムに充填し、ワルファリンとその構造類似化合物 (クマクロール、クマリン) に対する保持能および分子認識能を評価した。MIP の分子認識能の評価には、保持係数の比で定義したインプリント係数を用いた。調製した MIP および NIP は、球状で粒子径均一なポリマーであった。液体クロマトグラフィーにより評価したところ、MIP は、クマリンに比べてワルファリンとクマクロールを選択的に認識できることがわかった。また、ワルファリンの構造類似体であるクマクロールをテンプレート分子とした MIP (MIP・CC) も調製したところ、MIP・CC は MIP・WF に比べて、ワルファリンとクマクロールに対して高いインプリント係数を与えた。以上より、多段階膨潤重合法によりワルファリンに対する MIP の調製が可能であることがわかった。さらにワルファリンにクロロ基が付加されたクマクロールに対する MIP の方がワルファリンを選択的に認識できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ワルファリンまたはワルファリンの構造類似体であるクマクロールをテンプレート分子として、ワルファリンを認識できる MIP を調製することができた。しかし、調製した MIP が、環境水中の選択的濃縮への適用が可能かについては、今後、検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ワルファリンの構造類似体であるクマクロールをテンプレート分子として調製した MIP・CC が、ワルファリンをテンプレート分子として調製した MIP・WF に比べて高いインプリント係数を与えたことから、今後、置換基が分子インプリント効果に与える影響について検討する予定である。またこの置換基の効果を利用して、環境水汚染物質であり内分泌撹乱作用を有するビスフェノールA に対する MIP の調製法について検討する。さらに、得られた MIP の環境水汚染物質の選択的濃縮分析への適用についても検討予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進める上で必要な器具・試薬などが足りていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分子インプリントポリマーの調製、評価および選択的濃縮分析への適用にあたり、必要な試薬、有機溶媒、器具類(ガラス器具、充填用カラム)などの購入を予定している。
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