2014 Fiscal Year Research-status Report
抗肥満・抗糖尿病・抗酸化性転写因子の機能解析と活性化食品成分の同定
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25504003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (40409008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ATF4 / 食品成分 / FGF21 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は①転写因子ATF4を活性化する食品成分のスクリーニング、及び②DNAマイクロアレイを用いたATF4標的遺伝子の探索を行った。 ①食品成分のスクリーニングに関しては、昨年度に確立したATF4の活性評価系を用いて当研究室が保有する食品成分ライブラリーを用いて行った。その結果、ATF4を活性化する複数の食品成分を同定した。ATF4の活性化が特に顕著であった食品成分Aに注目し、さらに解析を行った。ATF4は小胞体ストレスなどの刺激により、翻訳亢進を介して活性化することが知られている。肝臓の培養細胞に添加したところ、食品成分AによりATF4のタンパク質量の増加が見られた。また、リアルタイムPCRを用いた解析の結果、FGF21などのATF4の標的遺伝子の発現の増加も見られた。今後はATF4のノックダウン等により、食品成分AがATF4依存的に標的遺伝子を活性化するか、また個体レベルでATF4を活性化させるかを検討する予定である。 ②マイクロアレイを用いたATF4標的遺伝子の探索に関しては、当初ATF4-VP16を発現するアデノウイルスの使用を予定していた。しかし、アデノウイルスを用いた実験の結果、標的遺伝子の発現変動は、ATF4を発現するアデノウイルス(Ad-ATF4)とATF4-VP16を発現するで大きな差がないことが示された。このことからAd-ATF4を用いてマイクロアレイ解析を行った。肝細胞(HuH7)にAd-ATF4を感染させたRNAを回収した。DNAマイクロアレイの結果、既知の標的遺伝子に加え、複数の新規遺伝子の発現増加が確認された。リアルタイムPCRによる実験の結果、肝細胞において、これらの遺伝子のmRNAのAd-ATF4による有意な増加が見られた。今後は、これらの遺伝子の個体レベルでの発現制御を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究①に関しては、昨年度にATF4の評価系の確立に時間を要したため、本年度予定していた実験(ATF4を活性化する食品成分の個体レベルの検討)まで行うことができなかった。しかし、本年度はATF4の活性化食品成分を同定し、肝細胞で内在性のATF4の活性化及び標的遺伝子の発現亢進を確認できた。また、研究②に関しては、DNAマイクロアレイでATF4の新規標的遺伝子を同定し、来年度に予定していた同定した遺伝子の培養細胞レベルでの発現制御の解明まで進めることができた。このことから、当初の計画より遅れているが、個体レベルでの食品成分の解析等が順調に進行することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究②は当初の予定より進んでいるため、来年度は研究①の研究内容(ATF4を活性化する食品成分の個体レベルの検討)を重点的に行う。 本助成金は、申請書の研究実施計画に記載した実験に必要な経費に用いる。具体的には、培養細胞実験に必要な消耗品(食品成分、血清、培地、RNA解析等に必要な試薬類)、動物実験に用いる消耗品(実験動物購入費、餌、血液・RNA解析関連試薬類)、及び旅費(学会における研究成果発表、本研究と関連ある発表内容の情報収集)のための費用である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、26年度及び27年度に食品成分を用いた動物実験を行う予定であった。しかし、スクリーニングの評価方法の検討等に時間を要したため、27年度に集中的に動物実験を行わざるを得なくなった。26年度に行った食品成分のスクリーニングは、当研究室に既に保有していたライブラリーを用いたため、当初の計画より費用を必要としなかった。一方、27年度に行う動物実験には大量の食品成分を購入するため、実験試薬類の費用が必要となる。このことから、27年度に残額の研究費を使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、スクリーニングで同定した食品成分を用いた動物実験を集中的に行い、そのための試薬類を購入する。具体的には、実験動物の購入、動物維持・実験用の餌の購入、食品成分の大量購入(動物実験に使用するため)、組織のRNA及びタンパク質調製試薬の購入などの費用に研究費を用いる。
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