2013 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病リスク遺伝子の発現を制御するmicroRNAの同定
Project/Area Number |
25504007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 公子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90215319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / リスク遺伝子 / microRNA |
Research Abstract |
ヒトの全ゲノム上の個体差(SNP: single nucleotide polymorphism)を網羅的に分析するGWASにより、糖尿病に対する感受性と関連する50個以上の遺伝子が糖尿病リスク遺伝子として検出されている。しかしながら、これらの糖尿病リスク遺伝子のうちで遺伝子の機能と病態との関係が明らかになっているものはごくわずかである。そこで、GWASにより同定された糖尿病リスク遺伝子のうちmiRNAによる発現制御を受ける遺伝子を同定することを目的として研究を進めている。 まず、データ―ベースを用いたin silico解析によりmiRNAにより発現制御を受ける可能性のある11種類の糖尿病リスク遺伝子を選抜した。このうちの4種類の遺伝子(SLC30A8, CDKN2A, HNF1B, IRS2)については、3’UTR領域のmiRNAが結合する可能性のある領域にSNP(多型)が存在することを確認した。 そこで、これらの多型部位を含む遺伝子領域をルシフェラーゼ発現ベクターに組み込み、miRNAとともに膵臓癌由来細胞株(PK-1)に導入し、SNPの塩基配列の違いによりルシフェラーゼ活性(miRNA の結合やmRNAの安定性の指標となる)に違いがみられるかどうかを分析している。現在までに、HNF1B(rs1800929)のA>G配列の違いがmiRNA-214の結合に影響を与えるという結果を得ている。miRNA-214のHNF1Bへの結合が糖尿病の発症に与える影響について解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ルシフェラーゼ発現ベクタ―を用いたmiRNAの結合実験において、細胞への遺伝子導入効率をあげ、再現性よくルシフェラーゼ活性を測定する系を確立するために予想以上の時間がかかってしまった。当初、ポジティブコントロールやネガティブコントロールは市販品に頼っていたが、それらについても自作する必要のあることが分かった。 培養細胞を用いたin vitroの実験系が安定して実施できるようになったので、今後はさらに多くの候補遺伝子とmiRNAの関係について解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き、糖尿病リスク遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAのスクリーニングを継続する。miRNAにより発現制御を受ける可能性が示唆された糖尿病リスク遺伝子については、miRNA結合領域にSNPが存在するかどうかを調べ、さらにルシフェラーゼベクターを用いてそのSNPがmiRNAとの結合に影響を与えるかどうかを解析する。 さらに、膵β細胞の発生、インスリンの産生・分泌などに影響を与える可能性が報告されているmiRNAをデーターベースや文献から検索し、これらのmiRNAの標的となる遺伝子を新たな糖尿病リスク遺伝子の候補としてピックアップする。これらの候補遺伝子内に存在するSNPがmiRNAとの結合に影響を与えるかどうかについて分析する。 培養細胞を用いたin vitro実験において、miRNAによる発現制御を受けていることが示唆された糖尿病リスク遺伝子については、これらの遺伝子の発現と糖尿病の病態との関係を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ルシフェラーゼ発現ベクタ―を用いたmiRNAの結合実験において、細胞への遺伝子導入効率をあげ、再現性よくルシフェラーゼ活性を測定するin vitroの系を確立するために予想以上の時間がかかってしまった。当初計画よりも研究が少し遅れたため、次年度使用額が生じてしまった。 培養細胞を用いたin vitroの実験系が安定して実施できるようになったので、今後はさらに多くの候補遺伝子とmiRNAの関係について解析を進める予定である。
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