2015 Fiscal Year Annual Research Report
過食・ストレスとHDL代謝をつなぐニューロペプチドY受容体の解析
Project/Area Number |
25504009
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加治 秀介 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (90224401)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニューロペプチドY / Y2受容体拮抗薬 / 脂質代謝 / 遺伝子発現解析 / 培養ヒト肝細胞 / SNP / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューロペプチドY Y2受容体(Y2R)の遺伝子上流SNPと血中HDL-C値が健常者で関連すること、HDL-C値が低くなるSNPでは培養肝細胞に一過性遺伝子導入すると転写活性がみられることを報告してきた。今回は肝細胞HepG2においてHDL-Cが低くなるSNPをヘテロに含むことを確認した後、Y2R拮抗薬であるBIIE0246の遺伝子発現への影響をリアルタイムPCRで検討した。肝でのHDL代謝に重要なアポリポ蛋白A1,その結合蛋白、CETP,SR-B1、肝リパーゼなどのmRNAレベルはBIIE0246の添加で有意に変化しなかった。そこでマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。HepG2細胞にBIIE0246を添加したところ、54,675プローブセットで各々743、492が1.5倍以上増加ないし減少した。増加遺伝子群は3つの生物学的過程、7つの細胞構成要素、1つの分子機能のGOカテゴリーに含まれていた(P<0.001)。3つの生物学的プロセスはキロミクロンリモデリング、コレステロール/ステロール輸送の陰性調節であった。また減少遺伝子群は44の生物学的過程、11の細胞構成要素、1つの分子機能に含まれていた。さらにBIIE0246によって抑制された遺伝子群は44のパスウェイに含まれ(P<0.01)、その中にはSREBPシグナルパスウェイが認められた。また増加した遺伝子群は22のパスウェイに含まれ、その中にはビタミンB12/HDL代謝パスウェイが認められた。以上の結果よりY2Rの阻害がコレステロール合成の抑制や血中HDL-Cの上昇につながり、特定のY2R SNP (rs6857530 GGまたはrs6857715 TT)を持つ対象の脂質異常症や心血管病予防・治療に向けて、Y2R拮抗薬が有効な個別化医療に貢献しうる可能性が示唆された。
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