2013 Fiscal Year Research-status Report
機能性ナノコンポジット形成に基づく次世代型特定保健食品の開発
Project/Area Number |
25504018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
戸塚 裕一 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50312963)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 溶解性改善 / ナノコンポジット / 糖転移ルチン / 糖転移ヘスペリジン / 糖転移ステビア / 難水溶性化合物 |
Research Abstract |
本研究は、食品中に含まれるものの、これまでに利用することが困難であった難水溶性の有効成分を、機能性添加剤のナノ集合体形成現象を有効に活用して、水中で「見かけ上溶けている状態」を作り出して、体内への吸収性を高めることを目的とするものである。そこで、種々の機能性添加剤を用いて、水中で難水溶性の食品中有効成分とナノサイズの複合体の形成の有無について検討した。本年度は機能性添加剤として新たに糖転移ルチンを使用し、数十種類の難水溶性化合物を対象として、溶解度上昇現象が認められるかについて検討した。 糖転移ルチンを用いて見かけの溶解度上昇が起こるかを検討したところ、化合物間で見かけの溶解度上昇に関して挙動が大きく異なることが判明した。これらの基礎データの集積により、本研究の最終目的であるデータベース構築に大きく貢献する成果が得られたものと考えている。 なお、本年度の成果として、Quercetinの抗酸化作用向上のための固体分散体の調製の可能性や、糖転移化合物が難水溶性薬物Ipriflavoneの溶解性に与える現象について新規知見が得られ、Ipriflavoneに対しては溶解度の向上の寄与度は糖転移ルチン>糖転移ヘスペリジン>糖転移ステビアの順であることが判明し、対象となる薬物とのナノ構造体形成には、添加剤の選択が大いに関与することを明らかとした。 また、糖転移ヘスペリジンが水中で構築するナノ構造についても、千葉大学との共同研究により精査し、新たな考察が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベース作成の目的に向かって種々の基礎データを取ることに成功し、そのうち影響が大きい系については、精査することにより2つの国内学会と1つの国際学会に成果を発表することができた。あと2年間をかけて地道なデータ取得が必要であるが、順調に研究は進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖転移化合物として、糖転移ナリンジンにも着目して新たな可能性を探っていきたいと考えている。機能性食品開発のための応用的な側面を指向した基礎研究は本学で引き続き行っていくが、データベース作成のための基盤となるナノ複合体形成に関する基礎的研究や、調製した機能性粉末の吸収性評価なども行っていくことができる体制の構築に努めたい。
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