2013 Fiscal Year Research-status Report
hiPSCを用いた新規β細胞分化誘導因子の探索・化合物ライブラリーから段階的探索
Project/Area Number |
25505003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
岡崎 康司 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80280733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 膵β細胞 / 化合物スクリーニング |
Research Abstract |
1型糖尿病患者の再生医療には、ヒトiPS細胞(hiPSC)から膵β細胞への分化効率を現状より格段に向上させる必要がある。したがって、β細胞の分化誘導因子の更なる探索が必須である。本研究では、それらの分化誘導因子の探索が簡便に行えるツールとして、insulin-promoter の下流にVenus(緑色蛍光)をノックインした hiPSCを作製し、その細胞を用いてβ細胞分化誘導因子を誘導する化合物の探索を行い、再生医療の応用に役立てることを目的としている。【実施状況】化合物ライブラリーからのスクリーニングを行うために、インスリンより更に上流で働く内分泌細胞分化に重要なNeurogenin3に着目し、このpromoterの下流にmcherry 蛍光タンパク質を挿入したダブルノックイン細胞を作成した。このダブル蛍光標識細胞を使用することで、より上流で反応しうる化合物をスクリーニングしてくることが出来る。スクリーニングを行う際に96ウェルプレートで行うためにCV値(変動係数)を10% 以下にする必要があるために、誘導方法を再検討した。現在ではより安定的に行える方法として浮遊培養を行っていることと、申請時に提示したプロトコルとは別の方法を取り入れている。まずプレ実験を行うために、少量の化合物からスクリーニングが可能かどうかをテストした。膵β細胞分化誘導時に個々の化合物を添加したところ、Neurogenin3-promoterで発現するmcherry、あるいはInsulin-promoter で発現するVenusの蛍光がコントロールに比較してより強く誘導する化合物が6種類得られている。今後は再現実験を行うと共に、β細胞分化マーカーの発現解析、最適濃度の検討、または組み合わせ等により、効率の良いかつ成熟なβ細胞の誘導方法を確立していく。更には分化時のメカニズムの解明を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングを行う際に大量化合物からのFalse positive をなるべくなくせる、更にはより確かなものを抽出してくるという意味でも、蛍光マーカーは一つよりは二つを指標にした方が良いと考え、細胞にもう一つのプロモーターにノックインを行った。細胞樹立までに時間がかかってしまったことや、スクリーニングを行う際の誘導方法の見直しなどを行っていたために、本実験のスクリーニングへのステップに進めなかった。今後、よりハイスループットに更に簡便にスクリーニングを行うためにはレポーターアッセイ系を準備する必要も出てくる可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在プレリミナリーではあるがいくつか候補にあがっている化合物を用いて、最適濃度の決定及びそれらの化合物の組み合わせ、添加する時期の調整などにより、β細胞のグルコース応答性に寄与しうる条件を検討している。グルコース応答性が確認できればそのメカニズムの言及に進む。しかし、グルコース応答性をもつ細胞が得られなければ、グルコース応答性に関与すると考えられる遺伝子であるGlut2などを制御する化合物をスクリーニングする目的で、レポーターアッセイ系を構築し、より簡便に、またターゲットを絞った形でスクリーニングできる系を立ち上げることも視野に検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は初年度に予定していた化合物ライブラリーをの購入してスクリーニング実験を行う予定であったが、実験計画を若干変更する必要性が生じ、よりスクリーニング効果の高いと考えられる2つの標識マーカーをもった細胞(Insulin-Venus + Neurogenin-mcherry)を先ず作成することに専念したため、使用額の変更が生じた。 今年度の未使用額と来年度の予算枠を用いて、段階的に化合物ライブラリーを購入し、β細胞の分化誘導を促す化合物のスクリーニングを行う。スクリーニングのための条件検討にかかる費用も本研究として使用する予定である。
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