2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25510014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
岩田 恵子 玉川大学, 教育学部, 准教授 (80287812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 浩子 立教女学院短期大学, 幼児教育科, 准教授 (00587347)
宇田川 久美子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (90513177)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケアリング / 保育 / 子ども |
Research Abstract |
(1)ケアリングの理論的検討 ケアリングの理論的検討については、定期的に検討会の機会をもち、ノディングズを基盤するケア論と、ノディングズに批判的なケア論の双方を視野にいれながら検討をすすめた。ノディングズの理論に対してさらに発展させようと試みるSlote「The Ethics of Care and Empathy」を中心とする検討から、ケアにおける「共感」の重要性を確認した。また、ノディングズ理論に対して批判的な議論を展開している上野千鶴子「ケアの社会学」をもとに、ケアにおける権力をめぐる問題の検討を始めた。 (2)保育の場のフィールドワークの実施と分析 保育の場におけるケアリングにかかわるエピソードの分析を「子どものケアする世界をケアする」ことをテーマに進めた。研究者それぞれがこれまでに得てきたエピソードから、赤ちゃん、自閉傾向の子ども、保育の場でちょっと気になる子どもについてとりあげ共同で検討し、子ども自身のケアする世界を捉え、その世界を大切にすることの重要性を論じた。 また、今年度、佐賀大学文化教育学部附属幼稚園、および、イタリアのレッジョ・エミリア市の保育の見学を行った。佐賀大学文化教育学部附属幼稚園においては、子どもたちがモノとかかわる時間を大切に行われている保育を見ることができ、子どものケアする世界を大切にする上での一視点を得た。また、レッジョ・エミリア市においては、保育の場の見学だけではなく、レッジョ・エミリア市が取り組んでいる保育の理念についての講演等にも参加することにより、子どもの世界を聴くことを大切にする保育、子どもを市民として対話を大切にする保育のありかたから、保育の場のケアについて大きな示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ケアリングの理論的検討に関しては、ノディングズをもとに発展する視点とともに批判的な視点の検討を行い、保育の場を見直すための理論的基盤を広げることができていると考えられる。 (2)ケアリングにかかわるエピソード分析に関しては、共同的に検討を行うことにより、子どものケアする世界が具体的に見えてきた。また、いくつかの新たなフィールドワークも実施することができていることにより、おおむね順調に進展している。 (3)保育者養成の学生の意識調査については、平成25年度は、(1)ケアリングの理論的検討、および、(2)ケアリングにかかわるエピソード分析をすることで、準備を進める予定であり、その進展から、平成26年度に予備調査を始めることができる状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ケアリングの理論的検討に関しては、引き続き、ノディングズをもとに発展する視点とともに批判的な視点の検討を行い、保育の場を見直すための理論的基盤を広げる予定である。今後は特に、批判的な視点について、考察を深め、よりよいケアの関係を検討する基盤としたい。 (2)ケアリングにかかわるエピソード分析に関しては、引き続き共同的に検討を行うことにより、子どものケアする世界を具体化するとともに、さらに、子どものケアする世界がどのように重なり合い、モノだけではなく人との関係が広がるかについての検討を深めたい。また、引き続き新たなフィールドワークを実施すること、研究発表を行うことにより、助言を得ることを予定している。 (3)保育者養成の学生の意識調査については、研究者の担当する授業枠の中でも、保育について学び始めた学生について、子どもをどのようにケアする視点を持っているかを、現場での学びに関する記録等を中心に検討を行うことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の購入に要した金額が予定より少なく、残額が生じた。 次年度は計画的に消耗品も購入、使用することを予定している。
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