2013 Fiscal Year Research-status Report
スタンレー・ホーンベックにみる異文化理解と対外関係の研究
Project/Area Number |
25511015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣部 泉 明治大学, 政治経済学部, 教授 (80272475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 日本史 |
Research Abstract |
当初の計画通り、国際関係の研究に異文化理解の文化学的手法を取り入れた先行研究を含む基本図書を購入し通読を開始した。また、当時のアメリカ国務省高官の日記やメモワールなどについても刊行されており入手可能なものの収集を開始した。その他の一次資料については、当初の計画と異なり本年度の研究拠点が米国北東部となったため、当初の計画では調査旅行を実施して入手する予定であった、当時国務省幹部の多くを占めていた米国北東部の出身者の資料については比較的容易にアクセス可能となるため、その利を生かして、資料収集並びに分析につとめた。また、米国に拠点をおいたため、国際関係に異文化理解のアプローチを導入して多大な成果を上げてこられたハーバード大学の入江昭名誉教授に、複数回にわたって面談し、本研究計画に対してレビューを受けることができるなど得るところが大きかった。ただ、当初、アクセスが容易であると考えた日本側の資料、並びに東京に集中して所蔵されており効率的に調査可能な日本に所蔵された米国の対アジア関係資料へのアクセスが比較的困難となった。これに関しては、当初、米国出張旅費のためとしていた旅費をもちいて日本への調査出張を実行して解決した。これらの結果、予備的知見として、当時の国務省上層部の大多数を占めた北東部のアイビーリーグ出身者たちに、ホーンベックはあまりよく思われておらず、そのことが彼の国務省内での態度に影響を与えたのではないかという仮説を得た。この点についての実証は難しいが、今後、関係者の個人資料を丹念にあたることで、解明していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時には研究拠点を日本とする予定で研究計画を策定したが、勤務先の配慮により研究拠点を米国にすることができた。そのため、研究計画の修正が必要であり、日本側の資料の収集に若干の遅れが出ている。ただ、研究の修正、並びに日本への出張によりその遅れは急速に回復しつつあり、本年度中には取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに入手した先行研究を含む基本図書の通読を継続すると共に、これまでに収集したアメリカ北東部の大学出身の国務省関係者の資料の分析を続ける。また、米国務省の極東関係文書、具体的には極東の在外公館からの報告書や、それに対する国務省極東部の覚書などのマイクロフィルムの分析を続ける。新たな一次資料入手に関しては、本研究課題申請時には、当然日本を拠点に研究を進めることを前提としていたが、昨年度中に、平成26年度も米国を研究拠点として活動することが決まったため、申請時と比べ研究実施計画の大幅な変更を迫られている。米国での研究活動が容易となる反面、日本国内で予定していた研究活動が困難となる。これについては、期間中に日本への調査出張を実施して解決したい。また一次資料の一部が近年電子的に世界のどこからでもリサーチ可能となっていることを利用することでも補いたい。加えて、英国国立公文書館など一部の文書館は有料とはいえ、実際に現地に赴くことなく文書の入手が可能となってきたので、そのようなサービスを積極的に利用したいと考えている。ただ、ホーンベック本人の資料としては、やはりスタンフォード大学フーバー研究所に所蔵されているホーンベック文書の調査が欠かせない。期間中に資料調査を実施して必要な資料の入手、並びに分析につとめる。成果発表としては、本年度中に、成果を取り入れた論文を一本執筆する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本プロジェクト申請時には、研究拠点が日本となる予定で、それにしたがって研究計画を策定したが、実施には研究拠点が米国となったため、研究費の使用項目や使用額にも変化が生じた。代表的なものでは、必要な米国出張が減るなどしたため、使用した予算が当初の計画よりも少なくなった。 拠点が米国となったために、比較的安価となった米国における調査旅費によって生じた余裕分を、同じく拠点が米国となったために、アクセスが困難となった日本国内所蔵資料の調査に回す予定である。
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