2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Stanley Hornbeck from the perspective of cross-cultural understanding and international relations
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25511015
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣部 泉 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (80272475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 日本史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き国際関係研究に異文化理解の文化学的手法を取り入れた先行研究やその他の先行研究を含む二次文献の通読を継続した。また米国務省高官の日記やメモワールの講読を継続した。それと並行して、このプロジェクトによって入手が可能となったホーンベック文書やソールズベリ文書などのホーンベックと彼にまつわる人々の一次史料の分析を進めた。それによって、これまでホーンベック自身が特異な人格であるかのような記述が当時の国務省職員の多くの文書にみられるものの、米国北東部の名門寄宿型ハイスクールから名門アイビーリーグ大学に共に進学し、家族ぐるみでも付き合いのある東部エリートたちが多数勤務する当時の国務省において、そのようなつながりを持たない地方出身のホーンベックが、ハル国務長官による重用もあり、彼らから良く思われない前提条件があったのは当然であり、精査していくと、必ずしも彼の人格が一方的に特異であった訳ではないことが明らかとなってきた。彼の周りの有力者たちが書き残した資料にこれまでの研究の多くが依拠してきたために、そのような人々の目を通してみたホーンベック像が、広まったとの仮説を得た。現在、当時の文書を精査することでそういった側面を明らかにしつつある。ここまでの検討の成果として太平洋戦争開戦直前の時期におけるホーンベックとその他の政府高官との軋轢をホーンベック文書などを初めとする文書の検討から明らかにし、その成果の一部を本年度末にモノグラフとして公刊することが出来た。より踏み込んだ内容についても現在モノグラフを執筆中であり近々完成予定である。
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