2013 Fiscal Year Research-status Report
フランスの区分所有建物の荒廃から正常化へ向かう管理のあり方の研究
Project/Area Number |
25512001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寺尾 仁 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70242386)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(フランス) / 区分所有 / 都市再生 / マンション管理 |
Research Abstract |
フランスへの現地調査を行なった。調査先は、①中央政府のうち法務省と住宅省、②事業を実施しているマントゥ=ラ=ジョリ市とクリシィ市の事業組織、③ベルギーのブリュッセルに本部を置く、EU加盟各国の不動産仲介・管理業者の業界団体のEU向け連合体であるヨーロッパ不動産業評議会である。 ①法務省と住宅省では、区分所有法に最新の改正をもたらした2014年3月24日の住宅へのアクセスと都市計画の改訂に関する法律(Loi pour l'acces au logement et un urbanisme renove)の立法担当者に対してインタビューを行ない、新法の概要を把握した。その結果、この法律の区分所有に関する第2編は、区分所有の登録制度の創設、修繕積立金の義務化、管理業者が預かる管理費の口座の個別化、管理業者の委託費の内容の明確化などを規定していることが分かった。 ②具体的な事業実施地では、パリの西郊約50キロのマントゥ=ラ=ジョリ市とパリの北西隣のクリシィ市を訪れ、各々市が出資する第3セクターの事業会社の担当者へインタビューを行ない、荒廃区分所有建物の更生・処分制度の運用を把握した。その結果、パリから遠いマントゥ=ラ=ジョリ市では社会住宅を含む住宅団地の修復・改善事業の一環として行なわれていること、パリに近いクリシィ市では旧市街地の修復改善事業の一環として行なわれて、荒廃区分所有建物を再生する場合には区分所有法に基づく制度を、取り壊す場合には不衛生や危険な住宅に対処する不適格住宅制度を用いていることが分かった。 ③管理業者団体であるヨーロッパ不動産評議会では、ヨーロッパ各国の管理業者制度の異同ならびにEUとの交渉についてインタビューをした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フランスの新区分所有法をめぐる国会審議が長引いて制定が遅れたために、フランスへの現地調査を、当初予定していた平成25年9月から半年延ばしたために、作業が全体として遅れており、25年度中に予定した収集資料の整理を26年度に行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスの調査については、25年度調査で収集した資料の分析を早急に終え、その時点で研究成果として公けにできる部分を論文として発表する。さらに、個々の事業ならびに同一地区における複数の事業に参画する当事者の動きに注目した現地調査を行なう。 日本の調査については、昨年度改正された被災マンション法など新しい法律の規定を整理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フランスの新区分所有法の制定が遅れたために、必要な文献が25年度中に発行されなかった。 フランスにおける文献の刊行状況に気をつけて、必要な文献を速やかに入手する。
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