2014 Fiscal Year Research-status Report
米国の住宅差し押さえ危機とその政策対応に関する実証研究
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25512002
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
豊福 裕二 三重大学, 人文学部, 教授 (70345966)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ / 住宅 / 差し押さえ / サブプライムローン / カリフォルニア州 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Inside Mortgage Finance社のMortgage Market Statistical Annualデータなどをもとに、全米の住宅市場および住宅モーゲージ市場の動向について分析を進めるとともに、オバマ政権による政策対応についてサーベイを行った。また、カリフォルニア州における住宅差し押さえの現状、差し押さえ物件の売買動向について、小地域レベルでの分析を行うとともに、分析結果を検証するため、カリフォルニア州ロサンゼルス市において、カリフォルニア州不動産業者協会(California Association of Realtors)および現地の不動産会社であるリダック不動産においてヒアリング調査を実施した。 分析およびヒアリング調査の結果、全米レベルでみれば、住宅モーゲージの差し押さえは完全には収束しておらず、また住宅価格もピーク時に比べれば低いものの、全体としては回復基調にあり、とりわけカリフォルニア州ロサンゼルス市のように住宅需要の堅調な地域においては、差し押さえの新規発生はごく限られており、差し押さえ問題はほぼ沈静化しつつあること、一方で、住宅価格の上昇傾向が顕著であり、とくに若年層における住宅のアフォーダビリティ(取得可能性)の低下が再び問題となりつつあることなどが確認できた。 なお、以上の研究成果については、2015年度に出版予定である『オバマ政権の経済政策(仮)』において公表予定であり、本年度は立教大学で開催された執筆者研究会においてその中間報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は小地域レベルでの分析に遅れが生じていたが、今年度はデータ分析を進め、その成果を出版準備研究会において発表するとともに、予定通りカリフォルニア州ロサンゼルス市現地においてヒアリング調査を実施し、分析結果を検証するとともに、データ分析だけからは見えてこない現地の住宅市場および住宅モーゲージ市場の実態について把握することができた。なお、当初予定では、今年度は2010年度にヒアリング調査を実施したインランドエンパイア経済復興公社(IEERC)にて追跡調査を実施する予定であったが、同公社が事業を継続していなかったことから、予定を前倒しして、最終年度に予定していたロサンゼルスの不動産業者および不動産業者協会に対してヒアリングを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題の1つとして、機関投資家による差し押さえ物件の売買が住宅市場に及ぼしている影響を把握することがあるが、今年度のヒアリングでは、それについて十分な情報を得ることができなかった。不動産業者や建設業者等の業界団体、差し押さえ問題に取り組んでいるNPO等の本部はワシントンDCに所在しており、情報も本部に集中していることから、最終年度はDCにおけるヒアリングを検討したい。 なお、一連の研究成果は、2015年度中に出版予定である『オバマ政権の経済政策(仮)』において公表する予定である。
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Causes of Carryover |
Inside Mortgage Finance社のMortgage Market Statistical Annualのデータ閲覧は年間契約であり、本年度中に更新予定であったが、3月に予定していた海外出張経費を差し引いた残額で更新費用が充足できるかどうか不確かであったため、更新を保留した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の通り、保留していたMortgage Market Statistical Annualの年間購読契約の更新に充当する。
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