2015 Fiscal Year Annual Research Report
米国の住宅差し押さえ危機とその政策対応に関する実証研究
Project/Area Number |
25512002
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
豊福 裕二 三重大学, 人文学部, 教授 (70345966)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アメリカ / 住宅 / 差し押さえ / 住宅ローン / オバマ政権 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、全米の住宅市場および住宅モーゲージ市場の現状と、オバマ政権による政策対応の効果について検証するため、9月上旬にワシントンDCにおいてヒアリング調査を実施した。調査対象としたのは、全米不動産業者協会、モーゲージ銀行協会、全米不動産業者協会、責任ある融資センターの4団体である。その結果、全米平均でみれば住宅市場は回復基調にあるものの、地域によっては依然として価格が低迷しており、住宅市場が二極化傾向にあること、また、住宅の新築市場については、価格の回復にも関わらず依然低迷していること、住宅金融市場については、オバマ政権下で策定されたドッド=フランク法によって制定されたQM(適格モーゲージ)ルールの存在が、住宅モーゲージの審査基準の厳格化をもたらしており、それが住宅市場の二極化にも影響していること、などを確認することができた。 本研究では、当初、カリフォルニア州ロサンゼルス市近郊に対象を限定し、同地域での住宅差し押さえ危機とその政策対応について検証することを目的としていた。しかし、昨年度のカリフォルニア州不動産業者協会へのヒアリングを通じて、同州が全国的にみても住宅需要が旺盛であり市場の回復が早いこと、それゆえ、同州だけをみていては全米の動向を把握できないとの認識に至り、最終年度はワシントンDCでのヒアリングを通じて全米レベルの実態把握を行うことに切り替えた。その結果、当初目的とは異なるものの、全米レベルでの市場回復の下で進行する住宅市場の二極化と、新たに生じている格差構造の実態を把握することができた。これらの研究成果については、今年9月出版予定の共著、『オバマ政権の経済政策(仮)』にて公表する予定であるが、アメリカ経済の回復基調が指摘されるもとで、アメリカの住宅市場とオバマ政権の政策対応の実情について明らかにした意義は大きいと考えている。
|